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『ローズマリーの赤ちゃん』、監督ロマン・ポランスキー、1968年、アメリカ

『戦場のピアニスト』を観て、ロマン・ポラスキーに興味を持ったので、 その勢いでこの映画も観た。 ホラー映画のジャンルに分類されることも多いが、 感想としてはむしろ良質なサスペンスか。 ジョン・カサヴェテスの浅薄な俳優の夫役はハマリ役だね。 ミア…

『戦場のピアニスト』、監督ロマン・ポランスキー

『戦場のピアニスト』を観た。 ナチスの台頭は色々な視点から描かれるが、 このフィルムの視点はポーランドという立場。 ポーランドにおけるレジスタンスの活動も描かれており、 その点では興味深かった。 ポーランドのユダヤ人で、ショパン弾きのピアニスト…

『エレニの旅』、監督テオ・アンゲロプロス

とにかく美しいフィルムだった。 ギリシア三部作の第一作目。 歴史的、地政学的な背景を熟知していれば より深く味わうことができたのだろう。 だが、いまのぼくはこのフィルムを美的なレベルでしか鑑賞できなかった。 エレニの生涯を語る方法として、アンゲ…

『真夜中の弥次さん喜多さん』、監督宮藤官九郎・原作しりあがり寿

『ゼブラーマン』を観終わったときのような苦い感触が残っている。 キャストは悪くないし、しりあがり寿の原作への敬意も感じられ、 監督第一作目としての意欲も充分窺える。 ただ……原作のスケールが大きすぎた。 実は、ぼくは原作の漫画がまだよくわかって…

『バス男』、監督ジャレッド・ヘス、2005年

まず……邦題、サイテーですね。 もちろん『電車男』に便乗してるんだろうけど、 5年後このフィルムを初めて観る人はこの題名の意味分かるのかな。 後々残るかもしれない作品なだけに、 この名前で残ることを考えるととても残念。 原題は主人公の名前である「N…

『ハサミ男』、池田敏春監督、2005年

精神分析的な映画批評の出現により、映画は「簡単」になった。 思わずそう言いたくなってしまう、極めてフロイディッシュなフィルム。メフィスト賞を受賞した殊能将之の小説が原作の映画化で、 「美人で清潔で成績が優秀な女の子」ばかりが のどにハサミを突…

『元祖! アホでマヌケなアメリカ白人』、『ザ・ビッグワン』、マイケル・ムーア

マイケル・ムーアは今でこそ社会派ドキュメンタリー作家だが、 元々はアホなバラエティの製作者だった。『元祖! アホでマヌケなアメリカ白人』そのアホな時代がわかるシリーズ。 この『アホでマヌケなアメリカ白人』(原題”stupid American”)は、 既にDVD…

『EGG』、堤幸彦

[film] 『EGG』、堤幸彦PV監督としての堤幸彦の面目躍如たる作品。 目をつむると見える、湖に浮かぶ不気味な卵。 この卵から生まれた怪物により、ヒロインの女の子は 誰にも理解されることなく物理的に傷ついていく…… …という物語なんだけど、物語自体はB級…

最近観た映画。 ②

(昨日の続き) ・『ホネツギマン』低迷感が拭えない、コーエン兄弟、弟のイーサン脚本による作品。 コーエン兄弟の弟、イーサン・コーエンが 脚本を手掛けた異色の格闘コメディ。 昼は整体師、夜は無敗のプロレスラー “ホネツギマン”として活躍するエドワー…

最近観た映画。 ①

最近、でもないんだけど、以前に観た映画について記しておく。 随分前に観たのもあって、結構忘れちゃってる。 やっぱり、こまめにメモしておかないとダメだ。 ・『Ray』 『永遠のモータウン』や、『THE BLUES MOVIE PROJECT』など、 音楽ドキュメンタリーの…

『THE 有頂天ホテル』、監督三谷幸喜、2006年

三谷幸喜の最新作、『THE 有頂天ホテル』は面白かった! いい映画を観ると、その映画について語りたくなる。 今日はこの映画について述べよう。 『THE 有頂天ホテル』というタイトルは、 『踊る大捜査線』が 『踊る大ニューヨーク』と『夜の大捜査線』とを合…

『ランド・オブ・ザ・デッド』(5)

t: 映画がオモシロイと言うのは、 内容に社会、文化、政治やそれらの歴史が反映されているからとか、 隠喩的な証言が上手に何かを風刺もしくは評価しているからとか、 撮影手法自体が作品に対して自覚的に意図を持って仕組まれているとか、 そういったこと…

『ランド・オブ・ザ・デッド』(4)

A: 例えば『エイリアン』。 H.R.ギーガーデザインの禍々しいエイリアンに目を奪われるけど、 あれも単なるモンスターSF映画じゃない。 あれはセックスへの根源的な恐怖を描いた映画なんだ。 t: うん? A: はじめのほうで頭にカブトガニみたいなエイ…

『ランド・オブ・ザ・デッド』(3)

takao: ゾンビ三原則? 何それ。今考えたんじゃないの? Auggie: まあ、そう思うのも無理はない。 でも、これは有名な決まりで、 ジョージ・A・ロメロが確立したって言われてるんだな。 もっとも、今ではこれがあまりに当たり前になってるから、 皆特に…

『ランド・オブ・ザ・デッド』(2)

(京都市内にて、友人のtakao君と) Auggie:やあやあ、久しぶり。 早速だけど、観たよ、『ランド・オブ・ザ・デッド』 (以下、『ランド〜』)。 面白かった〜! takao:でしょ!? アホアホなホラー映画を観て気分転換するつもりだったけど、 よくできてて唸…

『ランド・オブ・ザ・デッド』、ジョージ・A・ロメロ、2005年

友人のtakaoくんが『ランド・オブ・ザ・デッド』を観て、 いたく感心したらしい。 それで、町山智浩氏のブログの過去のページを教えてくれた。 で、ぼくも早速読んだんだけど、 あまりに面白かったので以下に引いておく。 元ネタはid:TomoMachi さんの2005年…

『海を飛ぶ夢』、アメナーバル監督、2005年

『海を飛ぶ夢』はスペインの映画で、 最近DVD化されたけど実は公開時に劇場で観た。 興味のあるテーマでもあったのだが、 劇場まで足を運ぼうと思ったきっかけは、 玄侑宗久のレビューを読んだからだ。 以下、全文を引いておく。 観おわってしばらく、奇妙な…

『放送禁止4』

実に面白いフィルム*1だった。 しかし、この面白さを上手く人に伝えられないのがもどかしい。 その理由は2つ。 一つは、あまりにも変な時間に放送されたテレビの特番だったため、 ほとんど誰も観ていないから。 もう一つはこのフィルムの構成上の問題だ。 …

『ウィスキー』、ウルグアイ、2005年

とても繊細で、そして地味な映画だ。 なにしろ、メイン・キャストは、 遠く離れて暮らし、靴下工場を経営して生計を立てる兄弟と、 その兄に密かな恋心を抱いているでのあろう工場の古株の婦人の3人だけど、 3人とも50歳を超えている。 で、ほとんどBGMはな…

『8mile』、監督カーティス・ハンソン

思ってたよりも悪くなかった。 いや、実のところ結構楽しめたんだな、自分でも意外なことに。 もっとも、これはあまり期待していなかったせいかもしれない。 批判しようと思って観たからね、この映画。 どうせエミネムをカッコよく撮ってるだけの映画なんだ…

『マシニスト』、監督ブラッド・アンダーソン

なんじゃこりゃ。 これが観終った感想。 「1年間眠ってない男」なんてコピーに煽られて、 観る前から期待していただけにガッカリ。 構造が、まんま『ファイト・クラブ』。 といったら、もうそれだけでネタバレになっちゃうけど、 でも本当にそうなんだよな…

『ジョニー・イングリッシュ』、監督ピーター・ハウイット*1

『Mr.ビーン』のローワン・アトキンソン主演の007・パロディもの。 ローワン・アトキンソンにも007にも特に興味はないけど (『Mr.ビーン』も観たことない)、 友人のすすめでみてみた。 けど……いまひとつだな。 基本的にこの映画の笑いは「ドタバ…

『グレン・グールド エクスタシス』

グレン・グールドのドキュメンタリー・フィルム。 グールドの死後に作られたもので、グールドのインタビュー、演奏の映像と、 批評家・友人達のグールドについてのインタビューで構成されている。 大げさに飾り立ててうそ臭い物語形式になってないのはいいけ…

『コーヒー&シガレッツ』、監督ジム・ジャームッシュ

待望のジャームッシュの新作。 一本の長編ではなく、ショートフィルム形式で ニューヨークのアンダーグラウンド文化を代表する人々の寸劇を綴ったもの。ジャームッシュの新作は長いこと観てないと思って調べてみたら、 『デッドマン』(カッコイイ!)が95年…

『伊刀嘉紘初期傑作集 100匹目のサルと笑う胃袋』

偶然こういう作品に出会えると嬉しい。 このDVDは、ぶらりと立ち寄ったレンタル店で出会ったもの。 ショートフィルムや短編集には興味があるので (「好き」といえるほど観てない)、 面白そうなのをみつけるとついつい借りてしまう。 不勉強ながら、まった…

『パイレーツ・オブ・カリビアン』

[film]『パイレーツ・オブ・カリビアン』、ジェリー・ブラッカイマー制作ジョニー・デップ好きの連れの強い要望で一緒に観た。 なんでも、キムタクがスマスマでこの映画のジョニデの物真似を よくやっていたらしいのだが、それがかなり面白いらしい。 で、観…

『殺し屋 1』、三池崇史監督

特に観たい映画ではなかったけど、 ファビュラス・バーカー・ボーイズがエラク衝撃を受けてたので観た。 ……彼らの言葉通り、強烈です。 妊婦は絶対観てはいけない。 暴力・残酷シーンは顔をそむけたくなる。 三池崇史の映画魂が全開だ。 原作は山本英夫の同…

『ゼブラーマン』、三池崇史監督

主演・哀川翔、脚本・工藤官九郎、監督・三池崇史。 実に贅沢なスタッフだけど、それもそのはず、 この映画は哀川翔通算100本目の出演記念作品。 だから、ぼくも大いに期待していたんだけど…… …ちょっと期待はずれかな。 漫画、『ウイングマン』のように、 …

『キューティ・ハニー』、庵野秀明監督

永井豪の懐かしいお色気アニメを、庵野秀明が実写化した作品。 『新世紀 エヴァンゲリオン』、『彼氏彼女の事情』以降、 庵野はアニメでなく実写を撮り続けている。『ラブ&ポップ』、『式日』、 そしてこの『キューティ・ハニー』だ。 『ラブ&ポップ』は観…

『悪い女 青い門』、キム・ギドク監督

ヤクザな男に付きまとわれ、 体を売って生活費を稼ぎながら絵の勉強をする女と、 その女を住み込みの売春婦として雇って民宿を経営する一家の物語。 これ、寓意的な意匠に満ちた映画だね。 主人公の女がシーレの絵を大事にして部屋に飾っていたり、 金魚を飼…