『EGG』、堤幸彦

[film] 『EGG』、堤幸彦

PV監督としての堤幸彦の面目躍如たる作品。


目をつむると見える、湖に浮かぶ不気味な卵。
この卵から生まれた怪物により、ヒロインの女の子は
誰にも理解されることなく物理的に傷ついていく……


…という物語なんだけど、物語自体はB級もいいところだ。
もっとも、誰も堤作品に物語は期待していないのでそれは構わないのだが、
肝心の映像も大して面白くない。
冒頭の15分くらいは実にそそる映像で、
つかみとしては充分なんだけど、怪物との絡みになってからがつまらない。
怪物ものホラーは怪物そのものが出てきた時点で終わりだ。
その意味で、物語後半の主人公が怪物に襲われるシーンは全部退屈。
話の落としどころとしては、この病気が遺伝的なものだとわかり、
怪物は自分自身の子供のようなものだと認識して、母子関係になる。
そこらへんのクライマックスもPV的だけど特に心を動かされなかったな。


湖に浮かぶ卵の映像は後に『TRICK』の冒頭へとつながるものだろう。
堤ファンとしては、それが確認できただけでもよしとすべきか。


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