2005-01-01から1年間の記事一覧

『放送禁止4』

実に面白いフィルム*1だった。 しかし、この面白さを上手く人に伝えられないのがもどかしい。 その理由は2つ。 一つは、あまりにも変な時間に放送されたテレビの特番だったため、 ほとんど誰も観ていないから。 もう一つはこのフィルムの構成上の問題だ。 …

『悪霊』、高寺彰彦、チクマ秀版社、2005年

ビレバンで大々的に薦められていたので、アオリ文句につられて購入。 「知る人ぞ知る」ホラー漫画の名作なんだそうだ。 巻末には『女優霊』、『リング』などの脚本家、 高橋洋が解説を寄せている。 内容的には、まあ、楽しめた。 高橋洋が解説を寄せているか…

『ネコマジン』、鳥山明、集英社、2005年

今年の春あたりに書店で目にしたが、 どうも買う踏ん切りがつかなくてそのままにしていたのだけど、 年末に偶然立ち寄ったブックオフで出会ったので購入。 で、期待しながら読んだんだけど、 ちょっと期待ハズレかな。 肩の力抜きすぎです。 鳥山明は『DRAGO…

『トニー流 幸せを栽培する方法』、トニー・ラズロ、ソフトバンク・クリエイティブ、2005年

『ダーリンは外国人』でおなじみ、トニーのエッセイ。 内容は題名通りで、 超ポジティヴな思考の方法とでもいうべきものが綴られている。 ぼくはトニー&左多里さんのファンだから退屈はしなかったけどさ、 全体的にちょっとぬるいんじゃないかな。 別に極端…

『さくらん』、安野モヨコ、講談社、2003年

やっと読みました、安野さんのこの漫画。 読む前から大体の話は知ってたんだけど、実際読んでみると…… うーん……正直、この漫画が何を言おうとしているのかよくわからない。 江戸時代の女郎屋で働く女性を主人公に据えることで 現代の日本で働く女性たちを描…

『ハワイで大の字』、小栗左多里/トニー・ラズロ、ソニー・マガジンズ、2005

おなじみ、左多里さんのルポ漫画。 今回はハワイに長期滞在していたときのもの。 いつもながらのノリでつまらなくはないんだけどさ…。 なんか物足りないんだよな。 なぜ、最近の左多里さんの漫画をぼくは物足りなく思うのか? その理由を考えてみて、あるこ…

『世にも美しい数学入門』、藤原正彦/小川洋子、ちくまプリマー新書、2005

『国家の品格』が売れているようだ。 まったく腹立たしいことだ。 先日も、平積みになっていたこの本を5〜6冊手にして、 誰に配ろうか相談している老夫婦を近くの書店で見かけた。 なんであんな本が売れるのかねえ……。 読み書きをしっかり勉強しろ、「美」…

「For JAZZ audiences」 (Joshua Redman)

This album is dedicated to jazz audiences past, present, and future: You give jazz music its vitality, its relevance, its immediacy, and its timelessness. Without you, jazz would be just a proposition; a theory; a question without an answe…

『ノーナとHiPPY CHRiSTMAS 2005』(大阪/心斎橋クラブクアトロ)

NONA REEVESのライブにいってきた*1。 ぼくは『ANIMATION』からのノーナファンで、 ライブもまだ数回しか足を運んでないんだけど、 ライブは一回も裏切られたことがない。 もちろん今回もサイコーだった。 ヴォーカルの西寺郷太は歌うまいし、エンターテイメ…

『ウィスキー』、ウルグアイ、2005年

とても繊細で、そして地味な映画だ。 なにしろ、メイン・キャストは、 遠く離れて暮らし、靴下工場を経営して生計を立てる兄弟と、 その兄に密かな恋心を抱いているでのあろう工場の古株の婦人の3人だけど、 3人とも50歳を超えている。 で、ほとんどBGMはな…

BECK関連本。『THE GUIDE BOOK』『MUSIC GUIDE』

BECKの関連本はこれまで3冊出てる。 『BECK THE GUIDE BOOK vol.0』と『BECK THE GUIDE BOOK vol.00』は、 『BECK』で使われてる元ネタの紹介という色合いが濃い。 ハロルド作石のインタビューや、 藤子不二雄A、甲本ヒロトとハロルドとの対談も収録されて…

『8mile』、監督カーティス・ハンソン

思ってたよりも悪くなかった。 いや、実のところ結構楽しめたんだな、自分でも意外なことに。 もっとも、これはあまり期待していなかったせいかもしれない。 批判しようと思って観たからね、この映画。 どうせエミネムをカッコよく撮ってるだけの映画なんだ…

『コンピュータのきもち』、山形浩生(2)「著作権について」

前回の続き。 著作権について、知的財産の説明から始まる。 知的財産というものを考えるにあたって、 絶対におさえておくべき基礎がある。 それは、知的財産というのが基本は人類全体の財産だということだ。 知的財産、つまり情報はいくらでもコピーできて、…

『コンピュータのきもち』、山形浩生、アスキー、2002年(1)

ぼくの敬愛する山形浩生によるコンピュータの入門書。 といっても、ワード・エクセルの実用的な使い方ではなく、 システムの階層やプログラムの組まれ方、 コンピュータの発展の歴史など、 コンピュータの思想史とでもいうべきものについて ざっくりと書かれ…

『国家の品格』、藤原正彦、新潮新書、2005年

好きな物書きがダメになっていくのをみるのは辛い。 藤原正彦は、友人に薦められて『若き数学者のアメリカ』を 読んで以来のファンだ。 何より、自分の状況を相対化できる視点をもち、 それを人に面白く伝えることができる文章が好きだった。 『若き数学者の…

『We Love Free Soul』、30-35 Special Issue

説明不要、天下無敵のコンピ。 曲リストを挙げれば誰もが納得してくれるだろう。 #1 Brazilian Rhyme (Interlude) / Earth, Wind & Fire #2 If You Were There / The Isley Brothers #3 Miracles / Jackson Sisters #4 Thinking Of You / Sister Sledge #5 I…

『Three Street Worlds』, Two Banks Of Four

久しぶりに素晴らしい音楽に出会った。 『Three Street Worlds』によって、 ジャズ/クラブミュージックは新たな地平に到達した―― というのは大げさか。 しかしそれほどこのアルバムは素晴らしい。 編成はドラムがいなくて、ウッドベース,管楽器など他は全…

『言葉の常備薬』、呉智英、双葉社、二〇〇四年

批評家、呉智英の雑誌連載エッセイ。 いつもながら、日本語の誤用を指摘し、 時には論語まで遡って披露するetymology(語源学)は非常に勉強になる。 呉智英の評価すべきところは、限られたスペースでその知識を達意の文で綴り、 そして娯楽の読み物に仕上げ…

朝日新聞「語りつぐ戦争」投書(2005.11.23)

45年6月、陸軍中尉だった父が大阪の陸軍施設で空襲に遭って死んだ。 返ってきたのは血のついた鉄かぶととサーベルだけ。 そのわずか2ヵ月後、終戦となった。 残された母と4歳の私、1歳にもならない妹は、 神戸の祖父母宅に身を寄せた。 焼け野原の中、その…

『Sacred Concerts –Duke Ellington』

[music] 『Sacred Concerts –Duke Ellington』エリントンの映像は「面白い」。 ピアニスト、ビッグバンドの指揮者、作曲家など、 エリントンの音楽は様々な面から考えることができるし、 それらは本当に興味深く、そして美しい音楽なんだけど、 今日はその話…

LINKを更新。

何かにつけて引用する、山形浩生氏のホームページを[LINK]に追加。 無断リンクになるけど、氏も許可してるので問題なし。 というか、そのようにずるずるとつながっていくことを 推奨しているふしさえみられる。とにかく面白いページです。 知的な飢えを感じ…

『日出処の天子』、山岸涼子、白泉社

文句なしの名作。 この漫画を読んだことがない人は、一刻も早く読んだ方がいい。 この漫画について、山形浩生が見事な文章を書いてるので、 アドレスを引いておく。 特にこれに付け足すことはない。 というか、ぼくは山形氏のこの文章を読んで、 はじめてこ…

『マシニスト』、監督ブラッド・アンダーソン

なんじゃこりゃ。 これが観終った感想。 「1年間眠ってない男」なんてコピーに煽られて、 観る前から期待していただけにガッカリ。 構造が、まんま『ファイト・クラブ』。 といったら、もうそれだけでネタバレになっちゃうけど、 でも本当にそうなんだよな…

『ジョニー・イングリッシュ』、監督ピーター・ハウイット*1

『Mr.ビーン』のローワン・アトキンソン主演の007・パロディもの。 ローワン・アトキンソンにも007にも特に興味はないけど (『Mr.ビーン』も観たことない)、 友人のすすめでみてみた。 けど……いまひとつだな。 基本的にこの映画の笑いは「ドタバ…

『グレン・グールド エクスタシス』

グレン・グールドのドキュメンタリー・フィルム。 グールドの死後に作られたもので、グールドのインタビュー、演奏の映像と、 批評家・友人達のグールドについてのインタビューで構成されている。 大げさに飾り立ててうそ臭い物語形式になってないのはいいけ…

『キラーストリート』、サザンオールスターズ、2005年

実に7年ぶりのサザンの新譜! 『Young Love』、『さくら』はスゴかった…。 サザンは中学時代、ということは15年ほど前から聴いていたが、 ファンとしてではなく、客観的に聴いてもこの2枚は名盤。 何語かわからないラップ*1を交え、 J-RAPの「俺様節」を一…

『バガボンド』(21)、井上雄彦、講談社、2005年

バガボンドは、井上雄彦が現段階でもっとも力を入れている漫画だろう。 この漫画については色々思うところがある。 二項対立を軸として物語が作られていることとか。 (例えば、 「山」で「父親と対立して成長した」武蔵と、 「海」で「父親からの愛情を一身…

『神秘家列伝 其ノ四』、水木しげる、角川文庫、2005年

「神秘家」というとわかりにくいが、 水木しげるが心惹かれた 「オカルト好きのかぶきもの(『花の慶次』より)」の伝記シリーズ。 この巻には、 仙合四郎、天狗小僧寅吉、駿府の安鶴、柳田国男、泉鏡花が 取り上げられている。 あまり期待せずに読んだのだ…

『ブラックジャックによろしく』(12)、佐藤秀峰、講談社、2005年

テレビドラマにもなった本格医療漫画。 一巻から読んでるけど、読み応えがある。 医療業界には詳しくないし、個人的に世話になったこともなかったので 強い興味はないんだけど、しかし絶対にいずれ関わることになる業界だ。 だから、あまり客観的に読めず、…

『ルパン・ザ・サードY 次元大介編』、山上正月、双葉社、2005年

ヴィレッジ・ヴァンガードで平積みされてあったのをみて購入。 正直、次元好きなので、「次元大介編」などとあったら無防備になってしまう。 が、帰って読み始めてみて…………落胆と同時に憤りが。 タイトルの「Y」を見逃していた。 「Y」は作者の山上正月のYで…