2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『恋の門』、監督松尾スズキ、原作羽生生純

う〜ん、いまひとつノレないな…。 観る前からやな予感はしてたんだけど、見事に的中。 その原因は内容とその語り方のミスマッチにある。 原作の漫画の面白さは、 誰もが一度は抱く、 「若気の至り」的な「自分の好きなものへの熱中」が、 いまどき珍しい暑苦…

『ローズマリーの赤ちゃん』、監督ロマン・ポランスキー、1968年、アメリカ

『戦場のピアニスト』を観て、ロマン・ポラスキーに興味を持ったので、 その勢いでこの映画も観た。 ホラー映画のジャンルに分類されることも多いが、 感想としてはむしろ良質なサスペンスか。 ジョン・カサヴェテスの浅薄な俳優の夫役はハマリ役だね。 ミア…

『戦場のピアニスト』、監督ロマン・ポランスキー

『戦場のピアニスト』を観た。 ナチスの台頭は色々な視点から描かれるが、 このフィルムの視点はポーランドという立場。 ポーランドにおけるレジスタンスの活動も描かれており、 その点では興味深かった。 ポーランドのユダヤ人で、ショパン弾きのピアニスト…

『エレニの旅』、監督テオ・アンゲロプロス

とにかく美しいフィルムだった。 ギリシア三部作の第一作目。 歴史的、地政学的な背景を熟知していれば より深く味わうことができたのだろう。 だが、いまのぼくはこのフィルムを美的なレベルでしか鑑賞できなかった。 エレニの生涯を語る方法として、アンゲ…

『真夜中の弥次さん喜多さん』、監督宮藤官九郎・原作しりあがり寿

『ゼブラーマン』を観終わったときのような苦い感触が残っている。 キャストは悪くないし、しりあがり寿の原作への敬意も感じられ、 監督第一作目としての意欲も充分窺える。 ただ……原作のスケールが大きすぎた。 実は、ぼくは原作の漫画がまだよくわかって…

『バス男』、監督ジャレッド・ヘス、2005年

まず……邦題、サイテーですね。 もちろん『電車男』に便乗してるんだろうけど、 5年後このフィルムを初めて観る人はこの題名の意味分かるのかな。 後々残るかもしれない作品なだけに、 この名前で残ることを考えるととても残念。 原題は主人公の名前である「N…

『魯迅 めざめて人はどこへ行くか』、四方田犬彦、ブロンズ新社、1992年

いつもながら、四方田犬彦の著作を読むとぼくは勇気付けられる。 子供を対象として書かれたこの本を読んでもそれは変わらない。 ブロンズ新社の小学校高学年から中学生を読者対象とした 伝記シリーズの中の一冊。 伝記シリーズの人物の中で、魯迅を書いた理…

『ハサミ男』、池田敏春監督、2005年

精神分析的な映画批評の出現により、映画は「簡単」になった。 思わずそう言いたくなってしまう、極めてフロイディッシュなフィルム。メフィスト賞を受賞した殊能将之の小説が原作の映画化で、 「美人で清潔で成績が優秀な女の子」ばかりが のどにハサミを突…

『元祖! アホでマヌケなアメリカ白人』、『ザ・ビッグワン』、マイケル・ムーア

マイケル・ムーアは今でこそ社会派ドキュメンタリー作家だが、 元々はアホなバラエティの製作者だった。『元祖! アホでマヌケなアメリカ白人』そのアホな時代がわかるシリーズ。 この『アホでマヌケなアメリカ白人』(原題”stupid American”)は、 既にDVD…

『EGG』、堤幸彦

[film] 『EGG』、堤幸彦PV監督としての堤幸彦の面目躍如たる作品。 目をつむると見える、湖に浮かぶ不気味な卵。 この卵から生まれた怪物により、ヒロインの女の子は 誰にも理解されることなく物理的に傷ついていく…… …という物語なんだけど、物語自体はB級…

最近観た映画。 ②

(昨日の続き) ・『ホネツギマン』低迷感が拭えない、コーエン兄弟、弟のイーサン脚本による作品。 コーエン兄弟の弟、イーサン・コーエンが 脚本を手掛けた異色の格闘コメディ。 昼は整体師、夜は無敗のプロレスラー “ホネツギマン”として活躍するエドワー…

最近観た映画。 ①

最近、でもないんだけど、以前に観た映画について記しておく。 随分前に観たのもあって、結構忘れちゃってる。 やっぱり、こまめにメモしておかないとダメだ。 ・『Ray』 『永遠のモータウン』や、『THE BLUES MOVIE PROJECT』など、 音楽ドキュメンタリーの…

『ハイスクール・ブッキッシュライフ』、四方田犬彦、講談社、2001年

「わたしは幼いころから書物については 誰にも負けない貪欲さを発揮していた子供であった」 と自負する四方田犬彦の、 高校時代に読んだ本を30年後に再読した体験を綴ったエッセイ。 テキストの文化的多層性を解きほぐし、 別の文脈に接続していく四方田氏の…

最近読んだ漫画。『リバーズ・エッジ』、『不思議な少年』、『グリーンヒル』

山形浩生が大絶賛の『リバーズ・エッジ』を読む。 評価されているのは知っていたけど、 岡崎京子は10年以上前に『ジオラマボーイ・パノラマガール』を読んで、 いまひとつピンとこなかったので他の作品を読んだことはなかった。 『リバーズ・エッジ』を読ん…

『心は転がる石のように』、四方田犬彦、ランダムハウス講談社

四方田犬彦の2003年〜2004年のエッセイ集。 ひとつのジャンルに限定されたものでなく、 強いていうならば時事ネタについて自由に書かれている。 『ラスト・サムライ』はコッポラの『地獄の黙示録』の日本版だとか、 机と椅子は責任の家具であるが、寝台は無…

『VIDEOまっしぐら』、中野翠・石川三千花、主婦の友社、H9

これまた本棚の整理をしていて出会った本。 最後にもう一回目を通して処分しようと思ったんだけど…… これもやっぱり処分できなかった。 著者の二人の名前からわかるように、 本の内容は俳優の演技や服装、美醜についてのそれぞれの独白。 文化的背景について…

最近読んだ漫画。『バガボンド』(22)、『20世紀少年』(21)

例によって、最近読んだ漫画について。 『バガボンド』は特に述べることなし。 今巻もよかったよ。 自ら目標点を高めに設定し、 読者の期待もそれに応じてどんどん高くなり、 クオリティとテンションを維持するのは大変だと思うけど、 井上雄彦にはこれから…

『THE かぼちゃワイン』、三浦みつる、双葉文庫名作シリーズ

大女フェチ、というのが存在する。 ぼくの趣味とはちょっと違うが、フェリーニなんかはその代表。 コーエン兄弟もそうかもしれない。 多分、この漫画もヒロインの朝丘夏美が大女だから、 この漫画もその文脈で語られてきたと思うけど、そうじゃない。 この漫…