『エレニの旅』、監督テオ・アンゲロプロス

とにかく美しいフィルムだった。
ギリシア三部作の第一作目。
歴史的、地政学的な背景を熟知していれば
より深く味わうことができたのだろう。
だが、いまのぼくはこのフィルムを美的なレベルでしか鑑賞できなかった。


エレニの生涯を語る方法として、アンゲロプロスが採用した方法。
それは彼のすべての作品に共通しているものだが、
「繊細な手付きの長回し」だ。
まるで自分がその空間にたたずむ「天使」
(もちろんヴェンダースの天使)であるかのような浮遊感溢れる映像美。
ぼくはこの美に耽溺した。


アンゲロプロスには前から興味があって、
旅芸人の記録』や『ユリシーズの瞳』、
永遠と一日』は面白く観た記憶がある。
今回はこの『エレニの旅』に刺激されて、
なんと『テオ・オン・テオ』なる
アンゲロプロスのインタビューDVDを近所のブックオフで購入してしまった。


ちなみに、このDVDのインタビューアーと『エレニの旅』の字幕は池澤夏樹
一緒に観た古代ギリシア哲学を研究している連れの話では、
池澤夏樹の訳はギリシア語から日本語への翻訳でなく、
英語の重訳とのこと。
う〜ん……。


テオ・オン・テオ [DVD]

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