2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『大好きな韓国』、四方田犬彦、ポプラ社

四方田犬彦の韓国関係の本。 ぼくの韓国と北朝鮮の知識は、四方田犬彦と関川夏央の著作による。 韓国への入口がこの2人で本当によかった。 おかげで、この2つの国について、 あまり偏らずに知識を増やしていけているように思う。 「朝鮮人」という呼び方は、…

『ヨーロッパ退屈日記』、伊丹十三、新潮文庫、一九六五年

ある年齢以上の人々にとって、この本は特別な意味を持つ。 オビにも、 この人が「随筆」を「エッセイ」に変えた。 本書を読まずしてエッセイを語るなかれ。 なんて書いてあって、当時の影響力がいかに大きかったかがわかる。 だからまあ、ぼくも期待して読ん…

『悪夢機械』、P.K.ディック、新潮文庫、一九八七年

ディックの短編集。 映画『マイノリティ・レポート』の原作も収録されている。 やっぱりディックは面白い! 50年前に書かれたものだけど、今読んでも充分楽しめる。 ぼくにとってのSFは、エンターテイメントでありながらも ときにひどく哲学的な問題を扱っ…

『私の遍歴時代』、三島由紀夫、ちくま文庫、1995年

三島由紀夫のエッセイ集。 作品もそれほど読んでないくせにいきなりエッセイを読むのもどうかと思うが、 本棚を整理するために読む。 あまり面白くなかったので売る。 とにかく太宰嫌いがすごい。 また、近代を嫌い、古代(日本・ギリシア)を讃美する姿勢も…

『マイルス・デイヴィス ジャズを超えて』、中山康樹、講談社現代新書、2000年

中山康樹のマイルス本。 まあ、内容はいつも中山康樹が書いてることと同じだけど、 この本は各アルバムに焦点をあてるのではなく、 全生涯を通してのマイルスの音楽を立体的に浮かび上がらせようと試みていて、 その分流れがわかりやすくなっている。 文学、…

『ジャズメンとの約束』、中山康樹、河出書房新社、2002年

中山康樹には2つの顔がある。 一つは『マイルスを聴け!』のような饒舌なエンターテイナー、 もう一つは、『超ブルーノート入門』のような、 述べたいことを言葉少なくクールにきめるハードボイルド・ナカヤマ。 後者の姿勢は、マイルスがトランペットを使…

『カミュなんて知らない』

最近観た中で一番面白かったフィルム。 自己言及的で、「映画を撮る」という行為について 極めて自覚的なフィルムだ。 実は、この映画の制作について今年の6月頃に 京都シネマで行われたワークショップが開かれていたのだが、 これに参加しとけばよかった!…

『メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬』

これも劇場公開のときから期待してて、やっぱり期待通りの面白さ。 ただ……よくも悪くも非常に「男臭い」映画だね。 SOIL & “PIMP” SESIONが推薦してたのも頷ける。 よく言えば「硬派」、悪く言えば「男根主義的」。 女性がこの映画をどう観るか興味ある。メ…

『シン・シティ』

いいね、これ。 劇場公開のときから面白そうだとは思ってたけど、 やっぱり面白かった。 やっぱりブルース・ウィリスは苦痛に歪む顔が似合います。 劇場で観ればよかった!シン・シティ スタンダード・エディション [DVD]出版社/メーカー: ジェネオン エンタ…

『Ergo Proxy』

佐藤大が脚本を担当してるんで楽しみにしてたんだけど、 どうもダメ。 2巻でぼくはギブアップしました。 登場人物が哲学者の名前ってのもなぁ…。 これって紙一重だと思うよ。 いずれ完結したら一気に観てもいい、とは思う。Ergo Proxy I [DVD]出版社/メーカ…

『スウィングガールズ』

遅ればせながら、やっと観た。 大して期待しないで観たんだけど、これが面白い! もちろん矢口史靖だから失敗はないと思ったけど、 予想以上にいい演出で心から楽しめた。 当たり前のことだけど、演出のテンポがいいと、 先の展開が読めてもダレないよね。 …

『いぬのえいが』

犬好きのためのオムニバス映画。 犬童一心が担当している話があったので観た。 なんといっても、副音声の犬童一心のコメンタリーが面白い。 映画を作るということのリアルな手触りが伝わってくる。 押井守はこの映画見てハァハァしてんのかな。いぬのえいが プレ…

『ソラノ』

『トーリ』を観る前にそのメイキングのこっちを観た。 なぜか行きつけのレンタル店にはメイキングの『ソラノ』しかなかった。 どうなってんの? 監督が浅野忠信ってのもあったが、 音楽が菊地成孔だったから手にとった。 が、よくわからなかった…。 『ソラノ…

『モーガン・スパーロックの30デイズ』

『スーパーサイズ・ミー』が好評だったらしく、 その後同監督が制作したTVシリーズがこれ。 もちろんぼくもこの作品のファンだから借りてみた。 が、……ちょっと安っぽい体験ものになってしまったような気がする。 思えば、『スーパーサイズ・ミー』も 企画…

『岩井俊二初期作品集1・2』

『FRIED DRAGON FISH』や『ゴースト・スープ』を愛するぼくとしては、 岩井俊二は初期が面白い、という立場だ。 『リリィ・シュシュのすべて』とか『花とアリス』とかよくわかんないよ…。 だから、期待して観たんだけど、大失敗。 初期岩井俊二の素晴らしさ…

『父、帰る』

友人のtakao君に激オシされて観る。 暗い画面などの映像を楽しんだ。 後ほどtakaoからこのフィルムが キリスト教的なメタファーに満ちていることを聞き、 言われてみると確かにその通りだと気付く。 気付かなかったことを悔やむ。 「放蕩息子の帰還」ならぬ…

『シリアナ』

これは映画である必要あるのかな? 煽るのが巧いルポライターにノベライズ書かせた方が面白そう。 映画的な興奮が味わえなかった。 シリアナ 特別版 [DVD]出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ発売日: 2006/07/14メディア: DVD購入: 1人 クリック: 11…

とりあえず総決算。(1)

やっとPCに向かうことができた。 気の遠くなるような引越作業もようやく一段落ついたので、 少しずつ知的生活も復活させていこうと思う。 まずは観っぱなしの映画から。 一つ一つについて書き記したいことはあるのだけど、 時間が経ってしまっていて細部が…