2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『動物化する世界の中で ―全共闘以降の日本、ポストモダン以降の批評』、東浩紀・笠井潔、集英社新書、2003年

なんでこんな本買ったのかなあ…。 はっきりいって、タイトルだけでちょっとゲンナリしてくる本なんだけど。 東浩紀のデビューはちょうどぼくが学部生の頃で、 専攻が近いこともあって注目していた。*1 そして、笠井潔は『哲学者の密室』を読んで友人と大笑い…

『セックス障害者たち』、バクシーシ山下、幻冬舎アウトロー文庫

セックスをどう考えればいいのか、いまだによくわからない。 人並みにセックスは好きだし、この年齢にしてまだまだ興味は尽きないけど、 どこか後ろめたいような気持ちを抱いてしまう。 「セックスは愛の結晶だ!」なんて時代錯誤な少女趣味的にも思わないし…

『サマー・デイズ ビーチ・ボーイズに捧ぐ』、『ビーチ・ボ

[book] 『サマー・デイズ ビーチ・ボーイズに捧ぐ』、『ビーチ・ボーイズのすべて』、中山康樹音楽史的にビッグ・ネームであること以外にビーチ・ボーイズに愛着はなかった。 もちろん、『ペット・サウンズ』は名盤だ。 それは山下達郎やフリッパーズ・ギター…

『オバはん編集長でもわかる世界のオキテ』、福田和也、新潮文庫、H14年

あらかじめ断っておくが、特別福田和也が好きなわけではない。 むしろ、ぼくは氏の思想には懐疑的、というか対立的だ。 ただ、その思想を別にすれば氏の書く文章にある種の魅力があるのは事実で、 特にエッセイなどは何か軽いものを読みたいときにはちょうど…

『となり町戦争』、三崎亜記、集英社、2005年

公共事業としての戦争が主題の話。 行政管理下に戦争は静かに、しかし確実に遂行され、 それに主人公の一市民が巻き込まれる様子が描かれる。 第17回小説すばる新人賞受賞作。 本の五木寛之、井上ひさし、高橋源一郎の推薦文にあるように、 この小説は評価も…

Jazz collective の衝撃

Jazz collective というバンドを聴いたことがあるか? もしも聴いたことがないなら、今すぐクラブへ急いだ方がいい。簡単に紹介しておこう。 「collective」とは、「共同体」とか「グループ」くらいの意味だ。 名前通り、ジャズを主体としたサウンドのバンド…

『スピルバーグ』、筈見有弘

[book] 『スピルバーグ』、筈見有弘、講談社現代新書、昭和62年スピルバーグは単なる娯楽映画の監督ではない。 それに気づいたのは実はつい最近のことだ。 もちろん、子供の頃は夢中になった。 カットや演技、詰め込まれた思想など考えもせずに スピルバーグ…

『ヒッチコック』、筈見有弘、講談社現代新書、昭和61年

『北北西に進路を取れ』がよくできたコメディだ、と言ったのは三谷幸喜。 だが、もちろん普通はヒッチコックといえばサスペンスの巨匠であり、 この本もサスペンス作家としてのヒッチコックを紹介している。 一方で、ジジェクの著作に明らかなように、 ヒッ…

『スイングジャーナル青春録』、中山康樹、径書房

中山康樹はぼくがもっとも敬愛する書き手の一人だ。 音楽について書く、ということについて強く氏から影響を受けた。 データ偏重に陥らず、感傷的な信仰告白にも堕さずに、 音楽そのものについて書く、ということ。 しかも読み物として充分鑑賞に耐えるレベ…

『ダ・ヴィンチ・コード』、ダン・ブラウン、角川文庫

非常に凡庸な作品だと思った。 まず、シオン修道会やテンプル騎士団といったテーマは、 本作品がはじめてテーマにしたものではない。 文庫版巻末で荒俣宏が書いているように、 これらは最近のブームですらある。 本作品の背景を説明するなら、 「聖杯探求」…

『探偵事務所5』、『笑の大学』監督星護

期待していた作品がつまらないときが一番辛い。 先日試写会で観た『インサイド・マン』の スパイク・リーにもガッカリさせられたが *1、 この週末はひどかった…。 林海象が中心になったプロジェクトの『探偵事務所5』と 三谷幸喜が脚本の『笑の大学』を観た…

『毎日かあさん』、西原理恵子、毎日新聞社

[漫画] 『毎日かあさん』、西原理恵子、毎日新聞社サイバラさんの母親日誌。 毎日新聞に連載されていた作品だが、 アル中気味の夫と、息子と娘との日常生活がいつも通りの絵で綴られている。 去年、『PLUTO』と『夕凪の街、桜の国』とともに、 自作の『…

『事件の地平線』、とり・みき、筑摩書房

[漫画] 『事件の地平線』、とり・みき、筑摩書房「牛の首」のことがまだ気になっている。 「件の話」といったほうが世間的には話しが早いのかもしれない。 これについては以前このブログでも書いたが、結局真相ははっきりしない。 とり・みきの『事件の地平…

『死に花』、監督犬童一心

[film] 『死に花』、監督犬童一心犬童一心が、山崎努、宇津井健、谷啓、青島幸雄らを主人公に、 老人ホームのおじいちゃんたちが銀行強盗する話。 ただし、この映画には犬童一心の持ち味である 異なる世界に住む人間と人間の関係への繊細な眼差しは感じられ…

『レイクサイドマーダーケース』、監督青山真治

『レイクサイドマーダーケース』がテレビで放映された。 それもフジの「金曜エンタテイメント」で。 これはちょっと信じられないことだ。 なにしろ監督は青山真治でいわゆるミニシアター系の作風だし、 それほどヒットした作品ではないからだ。 このフィルム…