ユニクロというブランドは実に興味深い。
20年以上前、わたしが学生だった頃は、安くてゴツいシルエットで、「これ、ユニクロだよ」なんてネタでしか言えなかったんだけどなあ。
いつのまにか紳士服ジャンルの「リアル・クローズ」の旗手として日本から世界に進出し、あれよあれよとファッション面でも大評価。国や地域によっては高級ブランドとして扱われているとか。
いや、ここ20年の動向をみてるとこれは納得できます。
実際、ユニクロの商品も大きく変わってるもん。あまり大きな声では言えないけど、ウチには10年以上前のユニクロの服もいくつかあるけど、それはアウターじゃなくて肌着や室内着。でも、ここ10年以内のものなら着こなしでどうにかなっちゃう。というか、「後は着る人のセンスでしょ」というレベルになってる。すごいなあ。
中でもすごいと思うのがTシャツ。
ユニクロのTシャツ、愛してます。
数年前の音楽アルバムジャケットシリーズは本当に素晴らしかった。
一連のマイルスのジャケットは、今ももったいなくて着れません。
荒木飛呂彦先生とのコラボTもそう。
Tシャツの神話力、わかってるなあ。
お店でこのTシャツを見たときは衝撃を受けたな。
ズキュン!
これ、これこそ疲れたオヤジ抜群のペアリングするデザイン。
もちろん即買いです。
ユニクロ、わかってるなあ、と思って公式ページを見てみると、
サンプルで挙がってるのはこんな感じ。
……わかってないなあ。
映画『ブレードランナー』の世界観は、もっとくすんでるんだよ。
イケメンのお兄ちゃんのちょっとアンニュイな表情でできる雰囲気じゃない。
「俺の一生、結局こんなもんだったなあ……」という諦念が漂ってる感じで、
それにはこの色がぴったりなんだよ!
でも、ほんの一瞬だけ、鮮やかな希望が見えた気がして…それはアンドロイドによる人工的な作り物なのかもしれないが、それは俺にはどうでもいいことだ……というか、人工的な「命」にせよ「愛」にせよ、むしろこれからはそちらの方が主流になるんじゃないか?
……そういう情景が濃縮された、いい1枚だと思います。
もう一枚は『キングダム』。
はじめは白地の羌瘣の1枚が目に止まったけど、
いや、日常的に着るならこれでしょ。
いや、素晴らしい。
地の緑、コマ割り、素晴らしいじゃないですか。
……まあ、欲を言うなら、絵柄との上の境目はもう少し曖昧でもよかったかもなあ、とか、「ドン」の文字も、無くてもよかったかも、とか。これだと、「マンガの一カットを使いました!」感が強いよね。
いや、でも、長袖ボタンシャツの下にこのTシャツ着てて、「ふう~、暑い暑い」なんて言いながら下から楊端和が出てきたら、話盛り上がると思いますよ。
相手が『キングダム』知ってたら。
ちなみに、図柄を拡大するとこうなります。
楊端和とバジオウ。
わかるひとにはわかります。