「発想の独立」「基準」

発想の独立
吉田戦車は登山帽があるのになぜ下山帽がないのか、と読者を挑発し、郡司外史教授は半ズボンとは片足しかないズボンだ、と楽しんだのは愛嬌だ。が、クランクアップした映画 『飢餓海峡』 は4時間もあり、会社から半分にしろと命じられ、それならフィルムを縦半分に切れと言った内田吐夢監督に到っては壮絶だ。

また、井上章一の観察では、フランスで、地下鉄からの突風でスカートがめくれ、女性の下着があらわになった。目撃した男性は「メルシー・マダム」と礼を言い、女性は微笑で返した。中国では、スカートがはだけても、堂々と自転車に乗る女たちの姿に仰天し、「下着を着ているから恥ずかしくない」という発想に、目からうろこが落ちた、と書いている。

 

吉田戦車の話は、おそらく『伝染るんです。』のどこかにあったような。

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そして、郡司外史氏の話は、これらの本のどこかにあるのでしょうか。

迷解笑辞苑 (1981年)

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酔眼流国語笑辞典 (1985年)

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内田吐夢監督の『飢餓海峡』、観たことないけど反骨精神あふれる監督です。若松孝二監督とかも言いそうなセリフです。政府の祝意を辞退した是枝裕和監督の姿が重なります。内田吐夢監督、ほぼエリントンと同じ時期に生きたんですね。そう考えると俄然興味が出てきました。

 

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内田吐夢(1898-1970、本名:常次郎)

井上章一氏の話は、多分これかなあ。

 

パンツが見える。: 羞恥心の現代史 (新潮文庫)

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次、いきましょう。

 

基準

映画『ショーシャンクの空に The Shawshank Redemption 』で、服役者たちが、刑務所内の図書館で寄贈された本を選別する場面がある。

「『モンテクリスト伯』って何だ?」

「脱獄の話だ」

「じゃ、これは教育図書だな」。

笑って見過ごせるシーンかもしれないが、生活環境が違えば、人生観、善悪の基準も異なって当然ということ。

 

言わずとしれた名作ですよね、『ショーシャンクの空に』は。

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この原作はスティーブン・キング。中学生~高校生の頃、わたしはこのホラー作家を読み漁ったことがありまして、この原作も映画化する前に読んでました。

原作は「刑務所のリタ・ヘイワース」。たしか、『ゴールデンボーイ』という名の文庫本に収録されていたと思います。

 

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そうそう、映画の話をすると、この主演のティム・ロビンス、当時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったのを覚えています。『ショーシャンクの空に』のすぐ前かすぐ後に、やはり当時わたしが夢中だったコーエン兄弟の『未来は今』の主演に抜擢されていて、驚くとともにその半ば場違いなキャスティングを楽しんだ覚えがあります。これは劇場で観たなあ。

 

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そうか。『ショーシャンクの空に』がヒットしたのが1994年。

で、キングが『グリーン・マイル』を書いたのが1996年、映画の公開が1999年ですか。『グリーン・マイル』が刑務所の話なのは、『ショーシャンクの空に』のヒットの影響があったのでしょうか。

 

グリーン・マイル

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