2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『オールド・ボーイ』、2004年

日本のコミック(土屋ガロン&嶺岸信明)を原作に、 『JSA』のパク・チャヌク監督が手がけ、 2004年度カンヌ国際映画祭でグランプリを獲得した 戦慄の韓流サスペンス映画。 以上、アマゾンの解説(的田也寸志)より。 安いアクションあり、ドギツイ暴力あり…

『ベルヴィル・ランデブー』、フランス

ジブリが日本の宣伝に大々的に関わったフランスのアニメ。 宣伝文句に使われている大友克洋の言葉は、 「極めてフランスらしいアニメ」。 ぼくもキャラクターの造形なんかそう思った。 で、異文化体験という意味では確かに面白かったが、 大絶賛するほどの映…

『サイドウェイ』、2005年、アメリカ

一度結婚に失敗したワイン通の繊細で内向的な男と、 結婚を一週間後に控えた俳優で 性的魅力に満ちた外交的な男のロード・ムービー。 主人公を対照的な二人に設定したところが成功の理由だろう。 主人公はワイン通の方。 近代文学の主人公の正統な嫡子たる「…

『A.I.』、スピルバーグ監督 (2)

(昨日の続き) 「ファビュラス・バーカー・ボーイズ」とは、 「ウェイン」町山智浩*1と「ガース」柳下毅一郎のユニット名。 命名の由来は映画オタク的な説明があるが、それは割愛。 いずれこの本について書くこともあるだろうからそのときに。 このコンビに…

『A.I.』、スピルバーグ監督

とても面白かった! といっても、 「デイヴィッド、おかあさんに会えてよかったね! スピルバーグよ、感動をありがとう!」 なんていう意味で面白かったわけじゃない。 この映画がすごくたくさんの悪意に満ちているからなんだ。 まず、始まって5分で「セッ…

『スチームボーイ』、大友克洋、2005年

予告編を観て悪い予感はしてた。 してたから大して期待はしてなかったけど、 やっぱり大友ファンとしてはガッカリだ。 ……どうなんだろう、これ。 前評判では、「19世紀のイギリスを舞台に、 細密なグラフィックでおくる冒険活劇」とかなんとかあったように思…

『マイ・ライフ』、綾戸智絵

[book] 『マイ・ライフ』、綾戸智絵、幻冬舎、2002年 綾戸智絵は、デビューのときから注目していた。 といっても、京都のヴァージン・メガストアで大きく推薦されていて、 そこの試聴機で初めて知ったのだけどね。 その頃、ぼくは楽器をやっていたので、 買…

『ハチミツとクローバー』(8)、羽海野チカ、集英社

これもまた楽しみにしてたハチクロの最新刊。 羽海野チカは話が進むにつれて どんどんストーリーテリングが上手くなっている感じがする (ただ、8巻は「手癖」というか、自分の作り出したパターンに ラクに乗っかる傾向が窺えたのだけど、それは気のせいか…

『STEEL BALL RUN』(5)、荒木飛呂彦、集英社

待ちに待った「ジョジョ」の最新刊。 最近は「週刊ジャンプ」でも見なくなっていたので、 うやむやのまま終わってしまったのかと心配していたが、 月刊誌「ウルトラジャンプ」に場所を移して連載していたみたい。 まずはひと安心。 で、内容だけど、いつもな…

『現代思想としてのギリシア哲学』、古東哲明、講談社選書メチエ、1998年

この本について、以前古代ギリシアが専門である友人に聞いてみたら、 ゴミ。みつけたら捨てろ。 というメールが送られてきた。 しかし、そのすぐ後に、 失礼。ゴミといったらゴミに失礼です。 という追伸が来た。これはちょっと言いすぎだと思うけど、 確か…

『『白鯨』アメリカン・スタディーズ』、巽孝之、みすず書房、2005年

(昨日の続き) 「第二回 恋に落ちたエイハブ船長」は、タイトル通り、『白鯨』におけるエイハブ船長の位置を考察する。 『白鯨』§1の有名な箇所、 確かに、私がこの捕鯨航海に出ることは、 とうの昔に作製されていた神意の大番組の一部に 組み込まれていた…

『『白鯨』アメリカン・スタディーズ』、巽孝之、みすず書房、2005年

高校生以上を対象とした、「テクストをじっくりと読む」ための教科書、 「理想の教室」シリーズの一冊。 ちょうど『白鯨』を読み終わったところであり、 このシリーズに興味もあったので読んでみた。 それに……作者が巽孝之。 過去に山形浩生と一悶着あった研…

『白鯨』(2)

(昨日の続き) では、いよいよ物語の寓意の分析に入ろう。 といっても、八木敏雄の解説をまとめるだけだけれど。 八木は、まずD.H.ロレンスが 『アメリカ古典文学研究』(野崎孝訳、南雲堂、1987)に寄せた 『白鯨』論を参考に挙げる。 (モービィ・ディッ…

『白鯨』、メルヴィル、八木敏雄訳、岩波文庫、1851年

訳者の八木敏雄の言葉を借りれば、壮大な「知的ごった煮」な物語である。 引用につぐ引用に窒息しそうになりながら寓意に満ちた挿話が連続し、 さらに物語自身の寓意も最後まで解き明かされることはない。 物語を貫く、世界のすべてを記述し尽くさんとする病…

『ジャズ レッスン』、綾戸智絵、KTC中央出版、2000年

NHKテレビ番組「課外授業 ようこそ先輩」で、 綾戸智絵は母校の小学校を訪れ、後輩の子供たちとジャズを語り、 ジャズを歌った(「教えた」とは言いたくないのだろう)のだが、 これはその一部始終を収めた本。 英語の歌詞を聞き取る際に、 「英語はまず…

“Atomic Swing”, Count Basie

[music] “Atomic Swing”, Count Basie1957年〜1962年の間にニューヨークのキャピトルスタジオで録音された、 ベイシーの音源のコンピレーション盤。 よくある安易な初心者向けの寄せ集め的企画盤かと思いきや、 これが予想を裏切る佳作。 とにかく、リマスタ…

「under the groove」、(Bluey)

beyond color, beyond creed we are, one nation under the groove……peace ! (『last night in tokyo』, incognitoより) インコグニートの1996年に日本で行われたライブ盤より。 最後の最後、「Still a friend of mine」の後にBlueyが 一人でマイクを持っ…

「映画批評について」(四方田犬彦)

Q1: 映画について何らかの文章を書くことには、 一体どんな意味があると考えますか? A1: 当惑して何をしていいのかわからなくなっている若い監督に、 大丈夫、君は孤独ではないのだからと声をかけてあげることは、 どの時代にも必要だと思います。 そ…

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「渡良瀬橋」

「渡良瀬橋」は名曲だが、それは曲のせいだけではない。 松浦亜弥のカバーは、そのことを明らかにする。森高千里は、デビューの頃でこそ「非実力派宣言」などという ケバケバしい言葉で自分を表現していたが、 キャリアを重ねるうちに、単に「非実力派」とし…

[days] 夏到来。

ここ数ヶ月かかずらっていた案件がひとまず片付いた (実は先延ばしになっただけだが)。 そしてタイミングよく注文していた本が届く。 四方田犬彦……次の七冊。 『大好きな韓国』 『心ときめかす』 『アジアのなかの日本映画』 『黄犬本』 『星とともに走る…

『サムライチャンプルー』、渡辺信一郎

『COWBOY BEBOP』、『アニマトリックス』の渡辺信一郎監督の HIP HOP時代劇アニメ。 舞台は江戸時代、ブレイクダンスで人を斬り、 演出はHIP HOP……。 コンセプトを耳にしたときは、その企画自体に疑問を感じたが、 その心配は杞憂だった。 というのも、この…

 『ばるぼら』、手塚治虫、(KADOKAWA 絶品コミック、2005年)

なぜ日本でこれだけ漫画が発達したのか? ――それは日本以外の国に手塚治虫がいなかったからだ。 確かこれは関川夏央の『知識的大衆諸君、これもマンガだ!』*1 に書いてあったことだが、その通りなのだろう。 『ばるぼら』は面白かった。 一話完結で毎回エン…