『サイドウェイ』、2005年、アメリカ

一度結婚に失敗したワイン通の繊細で内向的な男と、
結婚を一週間後に控えた俳優で
性的魅力に満ちた外交的な男のロード・ムービー。
主人公を対照的な二人に設定したところが成功の理由だろう。


主人公はワイン通の方。
近代文学の主人公の正統な嫡子たる「情けない男」そのままだ。
酔っ払って昔の女に電話するところなんて痛々しくて観てられない。


こういう映画、ぼくは大好きなんだけど、
これはいまひとつ乗り切れなかった。
そこそこ楽しかったし、好印象を抱いているのだけれど、
あえて人に薦めるほどではないかな。
それは、多分この映画が
「ワインの薀蓄」や「男の最低ぶり・情けなさの表現」などの面で
突き抜けていないせいだろう。
どうも予定調和的に作られているような気がしてならない。


でも、ラストがよい。
ドアをノックして、そこでおしまい。
つまり、結果がどうなろうと、
現状を変えようとして一歩踏み出すことが価値がある、ということか。
こんなふうに言葉で書くとつまらなく思えてくるけど、
なかなかいい終わり方だよ。