2006-01-01から1年間の記事一覧

『昭和時代回想』、関川夏央、NHK出版、一九九九年

本の整理が続く。 今日は関川夏央。 しかし、なんか同じ作者ばっかりだなあ…。 中山康樹、四方田犬彦、関川夏央、山形浩生、そしてまた中山康樹……。 幅を狭めているわけではないのだが、 ぼくが好きな書き手は皆多作なので、 そのフォローも一苦労なのだ。 …

『大好きな韓国』、四方田犬彦、ポプラ社

四方田犬彦の韓国関係の本。 ぼくの韓国と北朝鮮の知識は、四方田犬彦と関川夏央の著作による。 韓国への入口がこの2人で本当によかった。 おかげで、この2つの国について、 あまり偏らずに知識を増やしていけているように思う。 「朝鮮人」という呼び方は、…

『ヨーロッパ退屈日記』、伊丹十三、新潮文庫、一九六五年

ある年齢以上の人々にとって、この本は特別な意味を持つ。 オビにも、 この人が「随筆」を「エッセイ」に変えた。 本書を読まずしてエッセイを語るなかれ。 なんて書いてあって、当時の影響力がいかに大きかったかがわかる。 だからまあ、ぼくも期待して読ん…

『悪夢機械』、P.K.ディック、新潮文庫、一九八七年

ディックの短編集。 映画『マイノリティ・レポート』の原作も収録されている。 やっぱりディックは面白い! 50年前に書かれたものだけど、今読んでも充分楽しめる。 ぼくにとってのSFは、エンターテイメントでありながらも ときにひどく哲学的な問題を扱っ…

『私の遍歴時代』、三島由紀夫、ちくま文庫、1995年

三島由紀夫のエッセイ集。 作品もそれほど読んでないくせにいきなりエッセイを読むのもどうかと思うが、 本棚を整理するために読む。 あまり面白くなかったので売る。 とにかく太宰嫌いがすごい。 また、近代を嫌い、古代(日本・ギリシア)を讃美する姿勢も…

『マイルス・デイヴィス ジャズを超えて』、中山康樹、講談社現代新書、2000年

中山康樹のマイルス本。 まあ、内容はいつも中山康樹が書いてることと同じだけど、 この本は各アルバムに焦点をあてるのではなく、 全生涯を通してのマイルスの音楽を立体的に浮かび上がらせようと試みていて、 その分流れがわかりやすくなっている。 文学、…

『ジャズメンとの約束』、中山康樹、河出書房新社、2002年

中山康樹には2つの顔がある。 一つは『マイルスを聴け!』のような饒舌なエンターテイナー、 もう一つは、『超ブルーノート入門』のような、 述べたいことを言葉少なくクールにきめるハードボイルド・ナカヤマ。 後者の姿勢は、マイルスがトランペットを使…

『カミュなんて知らない』

最近観た中で一番面白かったフィルム。 自己言及的で、「映画を撮る」という行為について 極めて自覚的なフィルムだ。 実は、この映画の制作について今年の6月頃に 京都シネマで行われたワークショップが開かれていたのだが、 これに参加しとけばよかった!…

『メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬』

これも劇場公開のときから期待してて、やっぱり期待通りの面白さ。 ただ……よくも悪くも非常に「男臭い」映画だね。 SOIL & “PIMP” SESIONが推薦してたのも頷ける。 よく言えば「硬派」、悪く言えば「男根主義的」。 女性がこの映画をどう観るか興味ある。メ…

『シン・シティ』

いいね、これ。 劇場公開のときから面白そうだとは思ってたけど、 やっぱり面白かった。 やっぱりブルース・ウィリスは苦痛に歪む顔が似合います。 劇場で観ればよかった!シン・シティ スタンダード・エディション [DVD]出版社/メーカー: ジェネオン エンタ…

『Ergo Proxy』

佐藤大が脚本を担当してるんで楽しみにしてたんだけど、 どうもダメ。 2巻でぼくはギブアップしました。 登場人物が哲学者の名前ってのもなぁ…。 これって紙一重だと思うよ。 いずれ完結したら一気に観てもいい、とは思う。Ergo Proxy I [DVD]出版社/メーカ…

『スウィングガールズ』

遅ればせながら、やっと観た。 大して期待しないで観たんだけど、これが面白い! もちろん矢口史靖だから失敗はないと思ったけど、 予想以上にいい演出で心から楽しめた。 当たり前のことだけど、演出のテンポがいいと、 先の展開が読めてもダレないよね。 …

『いぬのえいが』

犬好きのためのオムニバス映画。 犬童一心が担当している話があったので観た。 なんといっても、副音声の犬童一心のコメンタリーが面白い。 映画を作るということのリアルな手触りが伝わってくる。 押井守はこの映画見てハァハァしてんのかな。いぬのえいが プレ…

『ソラノ』

『トーリ』を観る前にそのメイキングのこっちを観た。 なぜか行きつけのレンタル店にはメイキングの『ソラノ』しかなかった。 どうなってんの? 監督が浅野忠信ってのもあったが、 音楽が菊地成孔だったから手にとった。 が、よくわからなかった…。 『ソラノ…

『モーガン・スパーロックの30デイズ』

『スーパーサイズ・ミー』が好評だったらしく、 その後同監督が制作したTVシリーズがこれ。 もちろんぼくもこの作品のファンだから借りてみた。 が、……ちょっと安っぽい体験ものになってしまったような気がする。 思えば、『スーパーサイズ・ミー』も 企画…

『岩井俊二初期作品集1・2』

『FRIED DRAGON FISH』や『ゴースト・スープ』を愛するぼくとしては、 岩井俊二は初期が面白い、という立場だ。 『リリィ・シュシュのすべて』とか『花とアリス』とかよくわかんないよ…。 だから、期待して観たんだけど、大失敗。 初期岩井俊二の素晴らしさ…

『父、帰る』

友人のtakao君に激オシされて観る。 暗い画面などの映像を楽しんだ。 後ほどtakaoからこのフィルムが キリスト教的なメタファーに満ちていることを聞き、 言われてみると確かにその通りだと気付く。 気付かなかったことを悔やむ。 「放蕩息子の帰還」ならぬ…

『シリアナ』

これは映画である必要あるのかな? 煽るのが巧いルポライターにノベライズ書かせた方が面白そう。 映画的な興奮が味わえなかった。 シリアナ 特別版 [DVD]出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ発売日: 2006/07/14メディア: DVD購入: 1人 クリック: 11…

とりあえず総決算。(1)

やっとPCに向かうことができた。 気の遠くなるような引越作業もようやく一段落ついたので、 少しずつ知的生活も復活させていこうと思う。 まずは観っぱなしの映画から。 一つ一つについて書き記したいことはあるのだけど、 時間が経ってしまっていて細部が…

『「かわいい」論』、四方田犬彦、ちくま新書、2006年

題名通り、「かわいい」という概念を扱った本。 新書で、四方田氏の本にしては手に取りやすいのが嬉しい。まず、前提として、 「かわいい」の語源としては、「かはゆし」よりもむしろ「うつくし」であること 英語では「かわいい」の訳語として「cute」が使わ…

『ニッポニアニッポン』、阿部和重、新潮文庫

ニッポニアニッポンとはもちろん天然記念物「トキ」の学名。 昨日の『親指Pの修行時代』がペニスをめぐる話だとすれば、 この『ニッポニアニッポン』は「日本」をめぐる話。 自分の名前に「鴇」が使われているいわゆる「引きこもり」の少年が、 トキにシン…

『親指Pの修行時代』、松浦理英子、河出文庫

ペニスに対して、そして男根主義的なものに対して かなり意識的に書かれた小説。 題名のPはずばりペニス。 ある夕暮れ、午睡から目覚めると、右足の親指がペニスになっていた――。 センセーショナルな設定なだけあって、一時期話題になった小説。 その当時、…

森達也を読もう。

最近はメディア批判の書き手としての活躍が目立つが、 森達也の本職は、やっぱりドキュメンタリー作家だ。 氏の著作を並べ、読み比べてみるとそのことがはっきりわかる。 ぼくが森達也を知ったのは、著書では『放送禁止歌』、 映像は『A』、『A2』なのだ…

『ジャズ構造改革 熱血トリオ座談会』、後藤雅洋・中山康樹・村井康司、彩流社

現在進行形のジャズ・ジャズ批評への歯に衣着せぬ座談会。 なあなあの予定調和でなく、実名でガンガン批判しているところが面白い。 ジャズ本といえば、 毎年あきれるほど出版される「ジャズ入門書」にぼくもうんざりしていた。 一体何回入門すれば気がすむ…

『ご冗談でしょう、ファインマンさん』(上)(下)、R.P.ファインマン、岩波現代文庫、2000年

1965年にシュウィンガー、朝永振一郎らとともに ノーベル物理学賞を受賞した、 リチャード・P・ファインマン(Richard P. Feynman, 1918-88)の自伝。 業績は量子電磁力学のくりこみ理論の完成者、らしい。 量子電磁力学に特に興味のないぼくがこの本を読も…

『下北サンデーズ評』

朝日新聞「キュー」(島崎今日子) いろんな本を貸してくれ、恋愛や友情や思想というものを教えてくれた、 二つ年上の従姉妹がいる。 大学を卒業した彼女は「私、松井須磨子になる」と宣言して、 親に勘当されながら東京の劇団に入った。 私は時折上京して、…

『知識とは』(四方田犬彦、『黄犬本』より)

大学生が教室の講義で得る知識というのは、 大学生のとき得る知識の三分の一でしかないと思う。 あとの三分の一は、 学校の帰りなどに映画館や美術館に行って得る知識であり、 残りの三分の一は友人などの横のつながりで、 人に会ったり、本を読みあったりし…

8/19/06京都三条駅ビル店(大漁)

【売却】 1.『小説ペイオフ』、木村剛 2.『月曜日は最悪だとみんなはいうけれど』、村上春樹 3.「日経マネー」、「SOGI」など、過去の雑誌 4.『ママ』、細野不二彦 1は、将来読むかもしれないと思って1年ほど前に買ったものの、 どうにも読む…

カテゴリ創設。

今から10年程前に地元の埼玉県で会員になって以来、 ぼくはブックオフの年季の入ったヘビー・ユーザーであり続けている。 会員証はそのときのものをまだ使っているので、 ぼくの会員証はその場でラミネート加工する白いものだ。 この会員証使ってる人、ほと…

『長い道』、こうの史代、双葉社、2005年

長い道 (Action comics)作者: こうの史代出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2005/07/28メディア: コミック購入: 4人 クリック: 81回この商品を含むブログ (228件) を見る『夕凪の街、桜の国』を読んだときは衝撃を受けた。 被曝を主題としているが、安易な反戦…