1965年にシュウィンガー、朝永振一郎らとともに
ノーベル物理学賞を受賞した、
リチャード・P・ファインマン(Richard P. Feynman, 1918-88)の自伝。
業績は量子電磁力学のくりこみ理論の完成者、らしい。
量子電磁力学に特に興味のないぼくがこの本を読もうと思ったのは、
どこかで山形浩生がこの本を薦めていたから。
イタズラ好きで、権力に従うことは大嫌いで、
周りから反対されたり、変人扱いされても
自分が正しいと思ったことは最後までやりとおす。
大体予想通りの内容だった。
物理学の教授でありながら、絵の勉強をして個展を開いてしまったり、
ラテン音楽の虜になってボンゴを練習して玄人跣になったりと、
その型破りの人生は本当に面白い。
中学生か高校生の頃に読むと一番火がつくだろうな。
ちょっとぼくには出会いが遅かった。
ぼくが好きなエピソードは、
MIT時代のダンスパーティでダンスの相手に選んだ女の子が聾唖の娘で、
パーティ後その娘に連れられて聾唖者のダンスパーティに顔を出すところ。
そこで今度は聾唖者のふりをして店員をだますんだけど、
こういう無軌道なところがファインマンの魅力。
ただ、訳の1人称が「僕」だし、MIT出身だし、
ぼくにはどうしても山形浩生が頭に浮かんでしまう。
例えばこんなところ。
この会議には馬鹿どもが、しかももったいぶった馬鹿どもがうようよしていた。
同じ馬鹿でも偉ぶった馬鹿ほど鼻持ちならないものはない。
普通の馬鹿なら話もできるし、助けてやることもできよう。
しかし自分の馬鹿さかげんを隠すため、えらそうなでたらめを並べ立てて
人を恐れ入らせようとするようなもったいぶった馬鹿だけは、
僕は絶対に我慢できない!
普通の馬鹿はいかさま師ではない。
正直な馬鹿は結構だ。
だが不正直な馬鹿となると始末におえない。
この会議で会ったのは、この種の威張りくさった馬鹿どもの群なのだから
僕はすっかり頭にきてしまった。
…うーん、この文章、
そのまんま山形氏の文章に混ぜてしまっても全然違和感無いだろうな…。
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