2007-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『黄金を抱いて翔べ』、高村薫

高村薫は好きな作家だ。 その社会派的なスタンスも好きだけど、 なによりぼくが惹かれるのはその硬派な文体だ。 普段は礼儀作法や慣習にうるさいけれど、 困った時には黙って手を差し伸べてくれる親戚の伯母さん―― そんな外見通りの文体に惹かれてしまうのだ…

『村上龍対談集 存在の耐えがたきサルサ』、文春文庫

村上龍に関してぼくが評価するのは、 その嗅覚というか時代性に対する感覚だ。 それと人脈。 坂本龍一や浅田彰なんて、 ただ顔を合わせているだけでセンスがよくなりそうだ。 もっとも、お互いに気が合わないと人間関係は続かないから、 村上龍の方でも、彼…

『五分後の世界』、村上龍、幻冬舎文庫、H9年,『ヒュウガ・ウイルス 五分後の世界II』, H10年

『五分後の世界』にはやられた。 正直なところ、村上龍は好きな作家じゃないし、 それは今でも変わらないけど、 『五分後の世界』はおもしろかった。 おそらく色々なところで述べられていると思うが、 その優れたところは戦闘場面と人物観察の描写。 あと、…

『マイルス・アンド・ミー』、クインシー・トループ、河出書房新社

ずっと前にセルゲイが薦めてくれた本。 やはりずっと前に読んでまとめておいたメモをあげておく。 この本はいってみればクインシー・トループの 「マイルスとの思い出」本だけど、 ゴシップ的な内容もあり、音楽的な内容もありと 切り口が多彩で興味深く読ん…

『熊の敷石』、堀江敏幸、講談社文庫、二〇〇四年

不思議な文章を書く人だ。 フランス滞在中にユダヤ人の旧友を訪ねた数日間を 随筆的に記しただけの文章なのに、 どうにも気になる作品になっている。 長く続く文章はあまりぼくの好みではないのだが、 本書の文体のするすると伸びていく感覚は、決していやな…

『犬の人生』、マーク・ストランド、村上春樹訳、中公文庫、二〇〇一年

ずっと昔に読んだ作品のメモ・感想がPC内に溜まっている。 今となっては当時の感覚を鮮明に思い出すことは出来ないので、 それぞれメモ書きを適当にあげておく。 気になるところをメモするだけでなく、 なぜその箇所をメモしようと思ったのかも メモしておか…

『押井守の映像日記 TVをつけたらやっていた』、押井守、徳間書店、二〇〇四年

「資料やビデオに頼らず(いい加減な)記憶に基づいて映画を語った」本。 カバーには、 押井守が自宅のテレビで(たまたま)鑑賞した映画について 好き勝手に綴った、異色の<無責任>映画エッセイ! とある。 なにしろ本当に適当なスタンスで、 映画を観て…

『風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡』、宮崎駿、rockin’on

装丁がキレイだったのでつられて買ってしまった本。 宮崎駿については、 あらゆる人があらゆるところであらゆることを書いているから、 特にここで書き留めておくこともないのだけど、 メモ書き代わりにいくつか引いておく。 『トトロ』は自分の子供時代に対…

『意味がなければスイングはない』、村上春樹、文芸春秋、2005年

音楽に関する読み物は大体次の3つに分類される。 1.入門書。 2.ディスク・レヴューの羅列に終始するもの。 3.個人的な体験・思い入れを感傷的に綴ったエッセイ。 専門的な研究書や、読むことによって、 その音楽がこれまでと違うように聴こえてくる批…