『熊の敷石』、堀江敏幸、講談社文庫、二〇〇四年

不思議な文章を書く人だ。
フランス滞在中にユダヤ人の旧友を訪ねた数日間を
随筆的に記しただけの文章なのに、
どうにも気になる作品になっている。


長く続く文章はあまりぼくの好みではないのだが、
本書の文体のするすると伸びていく感覚は、決していやなものではない。
「フランス的」とでもいおうか、
読んでいるうちに知らず知らずの内に
作者に上手く丸め込まれてしまっているように感じるのだ。


表題作は芥川賞受賞作。

熊の敷石 (講談社文庫)

熊の敷石 (講談社文庫)