2020-01-01から1年間の記事一覧

毎年夏に『サマーウォーズ』を観るように、梅雨に『ブレードランナー』を観よう。

久しぶりにツタヤで映画を借りてきました。 きっかけは、先日のこの記事。 ユニクロの『ブレードランナー2049』Tシャツがあまりもカッコよかったので、観忘れていた『ブレードランナー2049』を借りたんです。 ブレードランナー 2049 [AmazonDVDコレクション]…

「憲法を確定する」 か「憲法を制定する」か

「憲法を確定する」 か「憲法を制定する」か もう随分昔のことで恐縮だが、言葉の話題だから取り上げておきたい。石原慎太郎元衆院議員は予算委員会で作家らしく言葉から切り込んだ。 この憲法をね、議員の諸君で精読した人はいるのか。あの前文の醜さは何だ…

洲崎 

洲崎 映画『墨東奇譚』で、「おかあさんのあの目をみた? 洲崎にいたとき男に切られたの」と置屋の女 黒田ユキが、津川雅彦に言う。おかあさん役は音羽信子。 墨東綺譚 [DVD] 発売日: 2001/10/10 メディア: DVD 墨東奇譚 発売日: 2016/04/15 メディア: Prime…

「地球温暖化」という訳語

地球温暖化 コピーライターの鈴木康之さんは「地球温暖化」はGlobal Warmingの邦訳らしいのですが、日本人の自然感覚をまったく知らない人」の誤訳で、コピーライターに訳語を依頼すれば「地球加熱化」「地表高温化」といった「恐ろしさと緊迫感の感じられる…

オヤジは「ブレラン 2043」と「キングダム 楊端和」ユニクロTを買え!

ユニクロというブランドは実に興味深い。 20年以上前、わたしが学生だった頃は、安くてゴツいシルエットで、「これ、ユニクロだよ」なんてネタでしか言えなかったんだけどなあ。 いつのまにか紳士服ジャンルの「リアル・クローズ」の旗手として日本から世界…

パネラー/パネリスト、グローバル・スタンダード/インターナショナル・スタンダード

これも和製英語。 「パネラー」か 「パネリスト」か そして、秋田で行われたトークセッションに出たのである。パネラーは「俺の友達」と瀬下さんが言うので気楽に構えていたら、これが、元巨人軍の原辰徳さん、元新日鉄釜石のスタンドオフ松尾雄治さん、ロス…

「口がすっぱくなるほど」と「口をすっぱくして」

日本語にも、コロケーションは厳然としてありますね。 「口がすっぱくなるほど」と「口をすっぱくして」 2019年8月28日の柔道世界選手権決勝で田代未来とクラリス・アグベニェヌが戦い、田代選手が破れた。それを伝えるアナウンサーが「…と口がすっぱくなる…

「くれる」? 「つかみとる」! 

「目に青葉 山ほととぎす 初鰹」な季節ですね。 くれる 立ち直る 元気をくれる 目に青葉 (小林美也子 京都新聞) 「くれる」「もらう」は受動的で他力本願的なもの言いです。 「立ち直れ元気を出せよと目に青葉」のほうが稚拙かもしれませんが、目に青葉か…

三島由紀夫の年齢から「学ぶ」。

「基準となる年」を覚えておくと便利です。 学ぶ 『鹿鳴館』は三島由紀夫が三十一歳の時の作品。昭和三十一年であり、私は当時十歳であった。朝礼のとき、校長先生が、日本が独立しました、と語ったのを聞いて「えっ、まだ独立していなかったのか!」と驚い…

食い入るように

慣用句は、意外と使い方が難しい。 コロケーション、というやつです。 食い入るように 冬はマラソンや駅伝のシーズンです。それを観戦した方の投稿です。 一生懸命にベストを尽くした姿に目頭が熱くなり、手に汗してテレビ画面を食い入るように見つめました…

ラサーンか、ラサーン以外か。「怒れ!」そして正義について考える。 

先日、久しぶりにインテリな知己とあったとき、最近読んだ本を訊かれました。 えっと……『卵をめぐる祖父の戦争』を読んだのは先月だったから最近とは言えないなあ。 それに、この方は小説は読まないので、この本の素晴らしさを伝えにくい。

稲を燃やす

浜口梧陵は、7代目浜口儀兵衛として、ヤマサ醤油の7代目社長でもある人なんですね。 稲を燃やす 2011年3月11日の東北大地震により津波が大きな被害を及ぼした。奇しくもその春の新年度から小学校の教科書に、浜口梧陵をモデルとした「防災の偉人」が載った…

機長と副機長

いわゆる「業界あるある」でしょうか。 機長と副機長 隣近所どころか、知人の中にもにいないせいか、旅客機の機長やアテンダントに関する話はほとんど知らない。 〇 機長と副機長は同じ食事をしないらしい。これは同じものを食べて食中毒、食あたりを避ける…

「言いふらしたはりました」 方言のときは、日本語にも時制の一致が起こる?  

いやあ、これは難問ですよ。 うまくいけば短い論文、悪くても呑んでるときの酒の肴になるネタですね、これは。 なんで泣きはる、泣いてはる 日本語には珍しい時制の一致の例です。 あるとき、事務職の女性が何か失敗しはって、関東出身の先生に向かって「せ…

うらめしや

江戸は、大らかな時代だったのでしょうか、窮屈な時代だったのでしょうか。 日本史において、わたしが一番好き/興味があるのは明治ですが、 今の日本文化のほとんどは、江戸時代に作られたのでしょうね。 うらめしや 江戸小咄から。 宿六がばくちで負けて、…

そういえば、ファミコンなどのコンピュータゲーム界隈で使われている「裏技」という言葉はどこから来たのでしょう? 裏 美術家の宮永愛子さんの記事です。 この1年、五島記念文化賞の副賞でチリの標高5000㍍地帯など南米を中心に世界を歩いた。「地球の裏側…

さすがに

年齢のことを言いたかったのでしょうか。 さすがに この言葉は、持ち上げているのか、貶しているのか、何故かはうまく言えないが、変な使い方である。 ≪デビュー初期の東映で、渥美格之進(格さん)役を演じたのを加えれば、佐々木助三郎(助さん)、水戸黄…

混浴

「かの娘 来たので湯屋が われるよう」なんてのもあったようですね。 混浴 寛政三年(1791年)正月、松平定信が混浴を禁じたが、「やめるように」くらいのゆるい令だったので効果は推して知るべし。その後、市井の男女混浴が禁止されたのは天保改革(1841年…

「——さ」

「この曲ヤバくない? あたし昨日、夜これ聞いてたら泣きそうになっちゃんたけど」 「わかるー! あれ、めっさヤバみある!」 ……最近はこういうとき、「ヤバさ」とは言わないらしいですよ。 「——さ」 接尾辞の「さ」の用例です。近江の鉄砲鍛冶師の国友一貫…

コレラ

新型コロナウイルスは、100年に一度の大感染症。 こういうときこそ、先人の知恵、過去の記録を参照すべき。 先人が陥った過ち・苦しみを活かしましょう。 コレラ このところ、新型コロナウイルスのニュースが流れない日がない。やはり感染病は怖い。ちょうど…

妊娠はしていない

「妊娠」というのは女性にとっても、男性にとっても驚天動地な出来事であり。それゆえ、(特に私小説の世界では)ひとつの小説ジャンルといっていいほどなのだ、アホらし。

三階は「さんかい」か「さんがい」か

この現象、「連濁」といいます。 三階は「さんかい」か「さんがい」か 言いやすい方が選ばれる例をもう少し観察してみましょう。「派出所」が「はつっしょ」、「新宿」が「しんじく」、「手術」が「しじつ」、「シミュレーション」が「シュミレーション」と…

絵に描いた餅

どんな情報でも、出典が大事。 出典によっては、誤用がニュースになることもありますしね、政治家の漢字の誤読など。 絵に描いた餅 中にはこんな鋭い意見を持っている人もいます。 アマゾンのネットショッピングで『明鏡ことわざ成句使い方辞典』(大修館書…

断る言葉

これもまた、言葉の力の一つです。 修辞、レトリックの力と言った方が正確でしょうか。 断る言葉 戦争が始まると、河井道(ミチ・カワイ:昭和4(1929)年4月に恵泉女学園を創設)はよく生徒たちに「この戦争は間違っている」と語り、憲兵隊に呼び出された事…

お弟子さん

今日は例文たくさんです。 この「お…さん」は意識したことなかったなあ。 お弟子さん 折口先生に私は、お会いしたことがなかった。遠くから、お姿を見かけたこともない。にも拘わらず、お弟子のはしくれみたいな気がしているのは、お書きになったものを通し…

待つことの悦び 4(四方田 犬彦)

「待つことの悦び」4回目。これで最後です。 うんうん、これこそ四方田先生の随筆です。 書物はゆっくりと成熟し、死が覚えずして来るのを憧れる。 30年前くらい前のエッセイです。 待つことの悦び 作者:四方田 犬彦 発売日: 1992/07/01 メディア: 単行本 待…

待つことの悦び 3(四方田 犬彦)

ヨモタ先生の「待つことの悦び」3回目です。 四方田犬彦先生といえば、なんといってもその博覧強記に裏打ちされた硬質な簡潔な文章が魅力。 これからの2回は、まさにそのヨモタ節全開です。 待つことの悦び 3 待つことについて、ぼくが知っているかぎりも…

待つことの悦び 2(四方田 犬彦)

昨日の続きです。 四方田先生の『待つことの悦び』から、「待つことの悦び」4連発。 待つことの悦び 作者:四方田 犬彦 発売日: 1992/07/01 メディア: 単行本 教科書に掲載されるなら、わたしはこの文章を推します。 待つことの悦び 2 忙しい、ということは…

待つことの悦び 1(四方田 犬彦)

部屋の整理をしていたら、四方田先生のエッセイが出てきました。 これから4日間は「言葉三面鏡」はお休みして、四方田先生の文章にそってものを考えたいと思います。 待つことの悦び 作者:四方田 犬彦 発売日: 1992/07/01 メディア: 単行本 『待つことの悦び…

話法

何でもかんでも直接話法で伝える人って、ちょっと頭悪そうに見えるよね、と友人が話していたのを思い出します。 確かに。 それに比べると、自分の言葉でまとめて間接話法で伝達できるひとは頭が良さそうに見えます。なるほど、その観点はなかったなあ、と社…