「言いふらしたはりました」 方言のときは、日本語にも時制の一致が起こる?  

いやあ、これは難問ですよ。

うまくいけば短い論文、悪くても呑んでるときの酒の肴になるネタですね、これは。

 

なんで泣きはる、泣いてはる 

日本語には珍しい時制の一致の例です。

あるとき、事務職の女性が何か失敗しはって、関東出身の先生に向かって「せんせ、かんにん」と謝らはった。それを聞いた先生は非常に感動しはったらしく、ことあるごとに「かんにんと言われちゃってさ、困っちゃったよ」と、あちこちで言いふらしたはりました

(井上彰一 京都新聞 2010/1/30) 

 

ぼくが子供の時分は、「すきやき」いうたら牛肉やのうて“かしわ”のお肉をつこおてました。農業をしたはった親戚の家でよばれたすきやきの味は、今もってはっきり記憶しております。当時の農家では、大抵自分とこで鶏を飼うたはって、すき焼きは最高のもてなしであり、ご馳走でした。

(飯田知史 京都新聞2010/4/29)

 

「日本語には珍しい時制の一致の例」と言いましたが、京都方言でしょう。

次の例は過去のことではなく、現在のことです。

京都の春の代表的な食材「竹の子」。洛西や山城などでは、世界一の竹の子を丹精込めて作ったはります

(飯田知史 京都新聞 2010/4/1)

 

「作ってはります」とは言わないのでしょうか。

それはともかく、このように続出するのを見れば京都方言のようです。

「…はります」には「…した、…た」形が前にくるのでしょうか。でもフランク永井の名曲『こいさんのラブ・コール』では「なんで泣きはる、泣いてはる」は「泣いたはる」ではありません。大阪方言とは違うのか、それとも京都大阪で適当に言っているだけなのでしょうか。

こいさんのラブ・コール

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まず、時制の一致というのがおもしろい(し、難しい)。

直接話法と間接話法など、日本語と英語(欧米語)には大きな違いがあります。

中学、高校でこれらを学び、日本語を客観視することで、さらに日本語の感覚が研ぎ澄まされていくわけですが……それはひとまず横に置きましょう。

 

方言のときは時制の一致になるときもある、なんて、教えてもらいませんでしたよ。

ここらへんの事情、どうなっているのでしょう?

そして、日本語学校ではどう教えているのでしょう ?