日本語にも、コロケーションは厳然としてありますね。
「口がすっぱくなるほど」と「口をすっぱくして」
2019年8月28日の柔道世界選手権決勝で田代未来とクラリス・アグベニェヌが戦い、田代選手が破れた。それを伝えるアナウンサーが「…と口がすっぱくなるほど、田代未来のコーチが言っていました」と報告。この常套文句は、本人以外が使えるのだろうか。
「雀々さんからはせりふを追うのではなく「もっと感情を込めて」登場人物になりきるようにと、口を酸っぱく言われ続けた。」(京都新聞2017)
「口を酸っぱくして」は「これほど口を酸っぱくしていっているのに、まだ分からないのか!」のように話し手が自分の話し方を言うのではないか。上の引用のように傍で聞いている人が使えるのだろうか。聞き手は「耳に胼胝ができるほど」であろう。
慣用句や、いい表現を知っていても、そのコロケーションを知らないとおかしい表現になる。さらに、使うタイミングを間違うと取ってつけたような表現になってしまいます。
それなら、ヘンに気取った表現を使わず、達意の文章を綴ることに注力すべき。
そう考えて文章を書くことを心がけてきましたが、それだけではつまらない。
やっと、そういう意識になりました。