「君は転んだけど、ぼくは転んでないよ(笑)」
いまの日本なら、「メシウマ!」といったところでしょうか。
他人の不幸を喜ぶ気持ち
それぞれの文化にはそれ固有の言い回しがあります。
ノーベル平和賞受賞者でケニア環境副大臣のワンガリ・マータイさんが広めた日本語の「もったいない」もそのひとつでしょう。
ドイツ語には Schadenfreude という単語があり、「他人の不幸を喜ぶ気持ち」という意味だそうです。なんとまあ、ドイツ人はいやな国民でしょう!と叫ぶ前に考えなければいけないことがあります。それは、このSchadenfreude が使われる文脈です。
「人間は、Schadenfreude を持ってはいけない」
「Schadenfreude を持つことは恥ずかしいことです」
「Schadenfreude はあなた自身を不幸にします」などという文脈でしか使われない単語なら、なんとまあ、ドイツ人は立派な国民でしょう! となります。
「伝えたい意味はコンテクストで決まる」とよく言われますが、このことをいってもいるのです。
うーん、これは面白い言葉です。
英語なら「Roman Holiday」になるのでしょう。
ニーチェやハイデガー、フロイトが嬉々として分析しだすような言葉です。実際、ニーチェはこの概念について「平等性の勝利と回復についての最も卑俗な表現」と述べています(おそらく『漂泊者とその影』かと)。
ドイツ人の性根が悪い、というよりも、この感情は人間共通のものなのではないでしょうか。むしろ、そんな感情にまで言葉を充てる精神性を評価したいですね。その几帳面さが表れているのだと思います。
この感情に関する本、たくさん出てます。
岡田斗司夫ゼミ#218「超読書『シャーデンフロイデ』〜不公平"感"はどこから生まれるのか? 驚愕の人体実験でわかる『人の不幸は蜜の味』」
- 発売日: 2018/11/10
- メディア: Prime Video