「——さ」

「この曲ヤバくない? あたし昨日、夜これ聞いてたら泣きそうになっちゃんたけど」

「わかるー! あれ、めっさヤバみある!」

 

……最近はこういうとき、「ヤバさ」とは言わないらしいですよ。

 

「——さ」

接尾辞の「さ」の用例です。近江の鉄砲鍛冶師の国友一貫斎が主人公の山本兼一著『夢をまことに』から。次は望遠鏡のレンズ作製に苦労している場面です。

 

窪みはできたが、残念ながら、拡大された像はいびつで歪んでみえた。それでは、月も星も歪んでしか見えない。難しいのは、均等な丸さにすることである。

  

夢をまことに(上) (文春文庫)

夢をまことに(上) (文春文庫)

 
夢をまことに(下) (文春文庫)

夢をまことに(下) (文春文庫)

 

  

形容詞「丸い」の名詞が「丸さ」です。「固い」が「固さ」、「潔い」が「潔さ」の「さ」です。

 

最近では、この「ーさ」に加えて、「ーみ」というものが使われています。

「ーみ」という表現は、「ーさ」よりも「実感をとなった表現」だとか。