稲を燃やす

浜口梧陵は、7代目浜口儀兵衛として、ヤマサ醤油の7代目社長でもある人なんですね。

 

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稲を燃やす

2011年3月11日の東北大地震により津波が大きな被害を及ぼした。奇しくもその春の新年度から小学校の教科書に、浜口梧陵をモデルとした「防災の偉人」が載った。

1854年和歌山県広川村を大地震による津波が襲った。実業家の浜口は地震による津波を予感して、刈り取った稲穂に火をつけ燃やした。不思議に思った村人たちは高台にあるその家に急いで集まり、そのおかげで津波から命が守られたという話だ。

これも人の命は収穫したばかりの豊かな稲穂より優先されるという確かな思想。そして、その発想の転換には、たとえどんなに貴重な瓶でも人の生命を救うためなら割っても構わないという価値基準、収穫したばかりの黄金の稲穂も燃やして構わないという直観、そういった基本理念に支えられていることを見過ごしてはならない。現代は価値観が多様化しているというが、人間の価値観は古今東西を問わず普遍の筈だ。

 

津波とたたかった人―浜口梧陵伝

津波とたたかった人―浜口梧陵伝

  • 作者:戸石 四郎
  • 発売日: 2005/08/01
  • メディア: 単行本
 

 

「稲を燃やす」のでなく、「納屋を焼く」なら村上春樹

「Barn Burning」。フォークナーへの目くばせ。

関係ありませんが、連想でそんなことを思い出しました。

 

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

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Barn Burning (Tale Blazers)

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