『レイクサイドマーダーケース』、監督青山真治

レイクサイドマーダーケース』がテレビで放映された。
それもフジの「金曜エンタテイメント」で。
これはちょっと信じられないことだ。
なにしろ監督は青山真治でいわゆるミニシアター系の作風だし、
それほどヒットした作品ではないからだ。
このフィルム、ぼくは2週間前に観たんだけど、
面白い偶然だから書いておく。


話の筋は2時間ドラマ的。
新聞の紹介欄をみると、

お受験合宿で愛人が殺された! 全員容疑者

とあり、まさにこの通り。
しかし上手いな、このアオリ文句。
で、犯人は結局中学受験する子供たちだろう、というオチで、
子供のことはわからない、
特に最近の子供は本当になにをしでかすことやら…
というような、近年の少年犯罪を匂わすようなつくりかただ。


いくつか疑問が残る。
まず、「言葉や話の筋でなく、映像で語る」という
青山真治の才能があまり発揮されていないのではないか?
ユリイカ』は言うに及ばず、『ヘルプレス』なんかでも、
ぼくは青山真治のこの才能に感心したので、
『レイクサイド〜』はいまひとつピンとこなかった。


そして、そもそも主題は何なのか?
親の愛? 最近の子供の異常性?
いや、この2つを当然のこととして認めてしまうような現代日本の奇妙さ?
どれにしても、このフィルムではきちんと述べられていないように思う。
とってつけたような結末も感心しない。


結論として、一風変わった2時間ドラマを観たような感想で、
期待外れだった一本。
榎本明と、いつもながらのヌメッとした存在感の鶴見辰吾はよかったけどね。


……と思ったら、このフィルムについて
実に鋭いレヴューがあったのでアドレスを引いておく。< http://d.hatena.ne.jp/meianfilm/20051201/p1 >

id:meianfilmさんの日月日音。

なるほど、そういうことか……。

レイクサイド マーダーケース [DVD]

レイクサイド マーダーケース [DVD]