『探偵事務所5』、『笑の大学』監督星護

期待していた作品がつまらないときが一番辛い。
先日試写会で観た『インサイド・マン』の
スパイク・リーにもガッカリさせられたが
*1
この週末はひどかった…。
林海象が中心になったプロジェクトの『探偵事務所5』と
三谷幸喜が脚本の『笑の大学』を観たけど、
はっきりいって両方とも駄作。
このブログではあまり否定的なことは書きたくないのだが、
憤りを感じるほど失望したので書き留めておく。


劇場版の『濱マイク』シリーズは素晴らしかった!
『我が人生最悪の時』はフィルム・ノワール
『遥かな時代の階段を』は郷愁で味付けされた虚実をめぐる映画体験、
『罠』はサイコ・サスペンス。
永瀬正敏はあまり好きな俳優じゃないんだけど、
このシリーズの永瀬は輝いてる。
音楽もいいし、何度観たかわからない。
その後、新進気鋭の監督が一話ずつ担当したテレビシリーズは
いまひとつだったけど、
発想は面白いし、今から冷静に考えれば悪くなかった。
だから期待してたのに……どうしてくれる。
宍戸錠や石橋蓮二なんか出してもごまかされないぞ…。
いや、林海象が演出を担当している話は安定してるし、
萩生田宏治の演出もよしとしよう。
きょうのできごと』で好演してた柏原収史も悪くない。
つまらない話の理由は単純。
創意が感じられず、幼稚な語り方の中井庸友のせい。


そして『笑の大学』。
これも120分観てるのが辛かった…。
あれだけの内容なら半分で撮れるのではないか。
当時の街中を映す説明的なシーンは必要なのだろうか。
そして、この作品もとにかく演出がひどい。
なんといってもカメラの切り返しがうるさすぎる。
しかもそれが全然必然性がない。
以前『12人の優しい日本人』を観た時は、
舞台的な演出・撮影方法に若干もどかしさを感じたが、
あの演出は間違っていなかった。
冗長でくどい。
役所広司はいいとしても、稲垣五郎で120分はもたないよ…。
実は役所広司も空回りしてくるし……。
表現の自由」「作家としての矜持」「本来敵同士の関係に生まれる友情」
「笑いの素晴らしさ」などを訴えたかったんだと思うけど、
どれも消化不良だね、少なくともこのフィルムでは。


でも、もしかしたらこの作品は近藤芳正と西村雅彦が
ガチンコでやりあう舞台なら俄然面白くなる脚本かもしれない、とも思う。
二人の人間が真剣に対峙することによる微妙な雰囲気。
その空気感の繊細な変化を楽しむ作品のような気がするからだ。
絶え間ない切り返しによって空気は分断され、
不必要な状況説明によってリズムを停滞させる演出は
この脚本のよさを殺している。
まあ、でも……脚本もそんなに感心しなかったんだけどね…。


この週末は本当にガッカリした。
8本借りて全部外れたのは生まれて初めてだ。


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*1:以前『25時』について書いたけど、カメラがうるさいんだよ!この前『モ・ベター・ブルース』を観直したんだけど、スパイク・リーはあの頃の方が数段カッコよかったなあ。内容もしっかりしてたし。