『THE ゴルゴ学』、ビッグコミック特別編集プロジェクト

ゴルゴ13』には、単行本未収録の話がある。
第237話、第245話、第266話、増刊32話の4話だ。
その事実をこの本で知った。
その他にも、オフィシャルブックと名乗っているだけあって、
ゴルゴ13』についてあらゆるデータが網羅されている。
しかし、その分析の視点が全然生産的ではない、と思う。
ゴルゴがこれまで何人の女とやったか、
成功報酬の平均額とか、総収支決算報告とか…
そういうの、ぼくはどうでもいいんだよな。
ぼくが一番興味を持ったのは、冒頭に書いた、
単行本未収録の4話。
しかし、なぜ未収録になったのか、原因を知りたかったけど、
話のあらすじさえ掲載されていない。
こういうところ、なんか腰が引けてるというか、
結局単なるファンのデータ本じゃないか、と感じてしまう。


この本が出るまでのすべての話のあらすじが収録されているけど*1
毎話、ゴルゴのSEX人数が記されているのもなあ…。
話の種としては面白いけど、どうでもいいよ、こういう情報は。


『ゴルゴ13』という漫画がこれほど長い間、
この国の成年男性に受け入れられた事実は、
社会的・経済的背景と無関係ではない。
みるからに東洋系とわかる顔立ちで、黙々と職人として仕事をこなし、
その職人芸には世界の誰も敵わない。
その上セックスも強く、金髪女はもちろん、
世界のありとあらゆる女を喜ばすことが出来る、
「男」としても最高。
つまり、ゴルゴのこの像は、
高度成長期に独自の技術で世界経済に立ち向かわんとする、
日本のサラリーマンの理想像そのままなのだ。
いまでいえば『島耕作』か。
こういう切り口で『ゴルゴ13』を論じて欲しかったのだけど、
単なるファンの本で終わってしまったのは残念。
……まあ、これはこれで割り切っちゃえば面白いけどさ。 


オフィシャル・ブックTHEゴルゴ学

オフィシャル・ブックTHEゴルゴ学

*1:単行本未収録作品以外