『サイゾー』2006年6月号、INFOBAHN

世の中には相性というものがある。
ぼくにとって、「サイゾー」という雑誌は相性がよすぎる雑誌だ。
もともとこの雑誌を買い始めたのは、
押井守山形浩生の連載があったからだけど、
今号はすごかった。


というのも、大谷能生の「東京サーチ&デストロイ」の連載は始まるし、
羽海野チカの同人誌時代の「やおい本」
スラムダンクもので、一万円だって!)の記事もあって、
『デス・ノート』の原作者、大場つぐみの正体が
ガモウひろしかもしれない、
という話も掲載してた。*1
東京メンズペインター協会が『NANA』を
コケにしてるのも面白かったなあ。
狙いすましたかのように「ツボ」でした。


しかし、極めつけはなんといっても藤原雅彦『国家の品格』の批判。
やっぱりこの本ヘンだよ。
冷静に考えれば考えるほど粗雑な論理に頭にくる。
この本については以前に しつこく 書いたからもう書かないけど、
きちんとマスメディアで批判していたのが嬉しかったから記しておく。


もちろん、『サイゾー』が上品な雑誌でないことはわかってる。
半分ゴシップ雑誌だし、
ルサンチマン的な色彩が濃いことも理解してるつもりだ。
しかし、この雑誌がマジョリティに冷水を浴びせる役割を
担っていることも事実だ。
もちろん反体制、反権力がいつも正しいわけではないし、
反体制はある意味で幼稚な思想かもしれない。
だが、健全な意見というものは必ず反対意見を必要とするものだ。
なんとしても、
噂の真相』なきあと(これも品がある雑誌ではなかったが)、
サイゾー』はマイノリティの視座を確保しつづけて欲しいものだ。


……と思ったら、『国家の品格』が週間ベストセラーだって(めざましテレビ)。
こういうときに自分がマイノリティだと痛感する。


*1:他にも、乙一清涼院流水宮部みゆき、編集部共同説、などもあるらしい