『サマー・デイズ ビーチ・ボーイズに捧ぐ』、『ビーチ・ボ

[book] 『サマー・デイズ ビーチ・ボーイズに捧ぐ』、『ビーチ・ボーイズのすべて』、中山康樹

音楽史的にビッグ・ネームであること以外にビーチ・ボーイズに愛着はなかった。
もちろん、『ペット・サウンズ』は名盤だ。
それは山下達郎フリッパーズ・ギターの賞賛ぶりをみても明らかなんだけど、
あえて他のアルバムを聴いてみようとは思わなかった。
この本を読むまでは。


『これがビートルズだ』にショックを受けたので、
ビーチ・ボーイズでなく、
中山康樹に惹かれて『ビーチ・ボーイズのすべて』を購入。
この本は全353曲、1曲1曲について解説する、
「○○を聴け!」シリーズの形式だが、
中山康樹のこのバンドへの愛憎の深さに感じ入った。
サーフィン、海岸、クルマ…と連想されるイージーなバンドでなく、
ブライアン・ウィルソンという天才が、
正気と狂気の狭間で格闘するバンドとしてのビーチ・ボーイズ
そして、アルバムごとの出来・不出来に振り回されるリスナー。
また、ビートルズの『リボルヴァー』を聴いたブライアン・ウィルソン
『ペット・サウンズ』をつくり、
『ペット・サウンズ』を聴いたポールが『サージェント・ペパーズ』をつくる、
という音楽史的な話も面白い。
とりあえず、『サンフラワー』と『サーフズ・アップ』を買いました。


で、出版年の逆になるが、
それから偶然古本屋で『サマー・デイズ』を見つけて読んだのだが、
中山康樹の若書き時代というか、
ビーチ・ボーイズのすべて』ほど感心しなかった。
昔の中山康樹の文章にいまひとつぼくがノレないのは、
中山康樹自身の個人的な感傷がちょこちょこ顔を出すからだと思う。
まだ文章が「芸」として確立せず、説明に終始しているように感じてしまうのだ。
やはり『スイングジャーナル青春録』と同じ感想を抱いてしまった。

ビーチ・ボーイズのすべて (エイ文庫)

ビーチ・ボーイズのすべて (エイ文庫)

サマー・デイズ―ビーチ・ボーイズに捧ぐ

サマー・デイズ―ビーチ・ボーイズに捧ぐ