『バス男』、監督ジャレッド・ヘス、2005年

まず……邦題、サイテーですね。
もちろん『電車男』に便乗してるんだろうけど、
5年後このフィルムを初めて観る人はこの題名の意味分かるのかな。
後々残るかもしれない作品なだけに、
この名前で残ることを考えるととても残念。


原題は主人公の名前である「Napoleon Dynamite」。
これはコステロが『ブラッド・アンド・チョコレート』で
名乗ってる名前なんだけど、それとなんか関係あるのかな。
確か、「誇大妄想狂」って意味だったと思うから、
単にそれだけの意味かもしれない。
内容は、内向的な主人公(典型的なナード。いわゆるヲタク)が
世間(ここでは高校生活)と上手くやっていけない様を描いた映画。
同じ物語はたくさんあって、もちろん『スパイダーマン』もそうだし、
ゴーストワールド』といういい映画もそう。
ゴーストワールド』の方が完成度も高いし、思想的にも共感できたけど、
この『バス男』の魅力は手作り感満載なこととオフ・ビート的な笑いにある。
途中まではこの映画にどう接すればいいのかよくわからなかったのだけど、
クライマックスで友人*1の選挙演説のパフォーマンスとして
ジャミロクワイの「canned heat」で
延々とブレイクダンスを踊るシーンには参った*2
笑ってしまっていいのか、感動してしまってもいいのか一瞬迷うんだけど、
奇妙な感情に衝き動かされ、心を大きく動かされた。
単にダンスを上手く踊れるだけで周囲から認められてしまっていいのか、
という問題はあるけど、いいシーンだ。


あと、デビー役のティナ・マジョリーノ(Tina Majorino)が
可愛くてよかった。
「健康的な美しさ」というやつです。


とにかく、不思議なフィルムでした。
しかし、やっぱりヲタクって世界的な現象なんだろうな。


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*1:この友人というのがメキシコ人で、アメリカ白人社会の縮図であるハイスクールにおいて明らかにマイノリティであることもこのフィルムに奥行きを与えている

*2:ビデオみながら、家で独りで練習するんだよね。大きな声じゃいえないけど、ダンスに限らず、こういう気持ちって男の子なら多かれ少なかれ誰でも持ってるよなあ。