『元祖! アホでマヌケなアメリカ白人』、『ザ・ビッグワン』、マイケル・ムーア

マイケル・ムーアは今でこそ社会派ドキュメンタリー作家だが、
元々はアホなバラエティの製作者だった。

『元祖! アホでマヌケなアメリカ白人』そのアホな時代がわかるシリーズ。
この『アホでマヌケなアメリカ白人』(原題”stupid American”)は、
既にDVD化されてるけど、「元祖」の名がついていることからわかるように、
1stシーズンが収録されている。


もう少し回を重ねると、
ヴァラエティの内容も政治的というか社会的なものになっていくんだけど、
『元祖』はひどい。
「自分が楽しけりゃいい」という精神のもと、
単なる嫌がらせとしか思えないことばかりしている。
しかもそれが心から楽しそうで、
とても後に「ブッシュよ恥を知れ!」と糾弾して
カンヌを訪れる人物にはみえない。


しかし、だからこそマイケル・ムーアに共感できる、
というところもあるんだな。
つまり、なにかのイデオロギーがあってそれに人生を捧げる、
という姿勢ではなく、
自分の価値基準に基づいて判断しながらフィルムを撮るという姿勢。
銃社会やブッシュの政治姿勢を批判するようになるのも、
こういったバカなフィルムを撮りながら
社会をいろいろ回った結果でもあるのだろう。


『ザ・ビッグワン』は社会派の萌芽ともいえる作品だ。
これまでとは少々毛色の違ったテーマを
いつもの手付きで扱おうとする逡巡がみられる。


それにしても、『アホでマヌケなアメリカ白人』で、
Rage Against The Machineの「Guerrilla Radio」をテーマ曲にして、
知事候補をモッシュする企画は本当に面白かったな。
ああいう在野精神に満ちた企画をまたやってほしい!


マイケル・ムーア 元祖 ! アホでマヌケなアメリカ白人BOX [DVD]

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