『ランド・オブ・ザ・デッド』(2)

京都市内にて、友人のtakao君と)


Auggie:やあやあ、久しぶり。
    早速だけど、観たよ、『ランド・オブ・ザ・デッド
    (以下、『ランド〜』)。
    面白かった〜!


takao:でしょ!? 
    アホアホなホラー映画を観て気分転換するつもりだったけど、
    よくできてて唸っちゃったよ。
    んで、後から監督のインタビュー読んだら、これも面白かったし。
    いや〜、ゾンビ映画って深いんだね。


A:ジョージ・A・ロメロが面白いってのは前から知ってたんだけどね、
  僕は『ゾンビ(DAWN OF THE DEAD)』しか観てなくてさ。
  それも、昔観たときはあまり引っかからなかったんだよなぁ。


t:『DAWN OF THE DEAD』って最近じゃないの?
  確か、サラ・ポーリーが主演だったはず。


A:うーん、実はゾンビシリーズはちょっと複雑なんで、整理しておこう。


  まず、ゾンビ三部作について。
  これらはもちろん全部ジョージ・A・ロメロが監督してる。
  第一作目が『NIGHT OF THE LIVING DEAD
(邦題:ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生)』で、
1968年。
  『ランド〜』を観てからレンタルで借りて初めて観たんだけど、
  これも面白かった! というか、僕はこれが一番好きかもしれない。


t:68年って、随分前だよね。


A:古いってだけじゃなくて、やっぱり時代背景を考えてほしいんだな。
  ロメロも言ってるように、60年代といえば学生運動
カウンターカルチャーの時代だからさ、
ゾンビってのはあの運動で敗れた者たちを象徴してるんだ。


  で、第二作目が78年の『DAWN OF THE DEAD(邦題:ゾンビ)』。
  ちょうど10年後だけど、これは当時の消費社会を反映させていて、
  一般的には一番人気があるみたいだね。
  確かに、映画としてしっかりしてるし、無理なく観れるかな。


t:これも『ドーン・オブ・ザ・デッド』なの?


A:そう。これがちょっとわかりにくいよね。
  しかも、当時の邦題は『ゾンビ』だからなおさら混乱してくる。
  『ゾンビ』っていう邦題はわかりやすいけど、
  このタイトルは絶対『ドーン・オブ・ザ・デッド
  じゃなくちゃいけないんだ。
  その理由については後で言うよ。

  
  そして、ゾンビ三部作の最後が85年の
  『デイ・オブ・ザ・デッド(邦題:死霊のえじき)』。
  これも今回初めて観たんだけど……これはいまひとつかな。
  半分コメディになってるみたいなんだけど、
  笑いが上手く機能しないというか…。
  しかも、一番政治的な構造になってるんだろうけど、
  それも上手くいってないんだよね。


  細部については後で話すとして、
  これがいわゆるジョージ・A・ロメロの三部作。
  これはタイトルが大事。


t:えーと……ああ、そうか。
  「夜」「夜明け」「日中」となってるわけね。


A:そう。
  ロメロも言ってるように、
  彼のゾンビ映画は「革命についての」映画であり、
  作品毎にゾンビは進化しているからね、
  タイトルの変化はそれを象徴してると思うんだ。
  だから、タイトルはそのままでいい。
  安易な英語のカタカナ読みは嫌いだけど、
  このシリーズは直訳でいいと思うんだな。


t:なるほど。で、『ランド〜』はどう関係してくるわけ?


A:まあ待て。
  その前に『ドーン・オブ・ザ・デッド』だけが
  リメイクされる(2004年)。
  監督もロメロじゃなくて、ザック・スナイダー
  町山智浩氏はいみじくも「ハードコアパンク仕上げの」リメイクと
  書いていたけど、まさにその通り。
  ゾンビの歩くスピードが速かったり、
  感染してから発症するまでの時間も短いし、
  映画のテンポもめちゃめちゃ速い。
  これも非常に楽しめたね。
  若い世代からのロメロへのオマージュ
  とでもいうべき作品なんじゃないかな。
  最後、島に逃げるっていうのは『デイ・オブ・ザ・デッド
  (以下、『デイ〜』)と同じだし。


t:で、その後にいよいよ満を持してのロメロの『ランド〜』なわけだ。


A:その通り。
  でも、その前に、言っておかなくちゃいけないことがある。
  それはゾンビ三原則。


t:ゾンビ三原則?     (続く)


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