『殺し屋 1』、三池崇史監督

特に観たい映画ではなかったけど、
ファビュラス・バーカー・ボーイズがエラク衝撃を受けてたので観た。


……彼らの言葉通り、強烈です。
妊婦は絶対観てはいけない。
暴力・残酷シーンは顔をそむけたくなる。
三池崇史の映画魂が全開だ。


原作は山本英夫の同名漫画。
『オカマ白書』、『のぞき屋』、『ホムンクルス』は読んでいるのだけど、
なぜかこの『殺し屋 1』は読んでない。
本能的に合わない、と思ったのだろうか。
原作を読んでないので細かいところはよくわからないのだが、
どうも心を病んでいて極端にマゾな「イチ」は、
浅野忠信演じる垣原に恨みを抱く男(塚本晋也)に
マインド・コントロールされ、浅野たちの組織の人間を
次々に殺していって 塚本晋也の復讐を実行していく話。


とにかく、浅野忠信がスゴイ。
いつも通り、演技してるのかしてないのかわからない演技だけど、
今回は拷問する男の役で、あの淡々とした振る舞いで軽く笑いながら
おぞましい拷問をしている様はハマリすぎです。
寺島進を鉤針で全身皮一枚で吊るし、
長い針で頬を貫通させる浅野忠信……。
イチ役の、大森南朋を完全に喰ってしまっている。
女の乳首を切り取る、変態双子警官の松尾スズキもハマリ役。
犬耳をして「ポチ三郎」となり、女の股の匂いから男の場所を探し出す。
…もう一度観たい映画ではないが、これはすごい映画だと思う。


それが演技であれ、プロットであれ、映像であれ、
強烈に感情を揺さぶる映画をぼくは評価する。
以前、『鬼が来た!』という映画を観たが、
これも本当にすごい映画だった。
観終わった後、どう表現すればいいのかわからない感情の高ぶりが
なかなか覚めなかったのをおぼえている。
『殺し屋1』は『鬼が来た!』とは全く異なる映画だが、
強く感情を揺さぶる映画であることには間違いない。
コメディにならずにスプラッターを貫いたところは評価できるし
(なってるかな?)、
それに、実はこの作品の奥底には、
サドとマゾ、愛情と攻撃衝動についての深い考察が
あるような気もするのだ。
まだよく考えてないし、あまり考えたい気もしないのだけど。


三池崇史に完敗しました。
ちなみに、音楽はボアダムズ山本精一
マインド・ゲーム』の時もそうだったけど、いい仕事です。
DVDは副音声で三池崇史山本英夫の対談が収められている。
それによると、タイトルの精液は塚本晋也のものらしい。本当?


殺し屋1 特別プレミアム版 [DVD]

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