film

『オールド・ボーイ』、2004年

日本のコミック(土屋ガロン&嶺岸信明)を原作に、 『JSA』のパク・チャヌク監督が手がけ、 2004年度カンヌ国際映画祭でグランプリを獲得した 戦慄の韓流サスペンス映画。 以上、アマゾンの解説(的田也寸志)より。 安いアクションあり、ドギツイ暴力あり…

『ベルヴィル・ランデブー』、フランス

ジブリが日本の宣伝に大々的に関わったフランスのアニメ。 宣伝文句に使われている大友克洋の言葉は、 「極めてフランスらしいアニメ」。 ぼくもキャラクターの造形なんかそう思った。 で、異文化体験という意味では確かに面白かったが、 大絶賛するほどの映…

『サイドウェイ』、2005年、アメリカ

一度結婚に失敗したワイン通の繊細で内向的な男と、 結婚を一週間後に控えた俳優で 性的魅力に満ちた外交的な男のロード・ムービー。 主人公を対照的な二人に設定したところが成功の理由だろう。 主人公はワイン通の方。 近代文学の主人公の正統な嫡子たる「…

『A.I.』、スピルバーグ監督 (2)

(昨日の続き) 「ファビュラス・バーカー・ボーイズ」とは、 「ウェイン」町山智浩*1と「ガース」柳下毅一郎のユニット名。 命名の由来は映画オタク的な説明があるが、それは割愛。 いずれこの本について書くこともあるだろうからそのときに。 このコンビに…

『A.I.』、スピルバーグ監督

とても面白かった! といっても、 「デイヴィッド、おかあさんに会えてよかったね! スピルバーグよ、感動をありがとう!」 なんていう意味で面白かったわけじゃない。 この映画がすごくたくさんの悪意に満ちているからなんだ。 まず、始まって5分で「セッ…

『スチームボーイ』、大友克洋、2005年

予告編を観て悪い予感はしてた。 してたから大して期待はしてなかったけど、 やっぱり大友ファンとしてはガッカリだ。 ……どうなんだろう、これ。 前評判では、「19世紀のイギリスを舞台に、 細密なグラフィックでおくる冒険活劇」とかなんとかあったように思…

『サムライチャンプルー』、渡辺信一郎

『COWBOY BEBOP』、『アニマトリックス』の渡辺信一郎監督の HIP HOP時代劇アニメ。 舞台は江戸時代、ブレイクダンスで人を斬り、 演出はHIP HOP……。 コンセプトを耳にしたときは、その企画自体に疑問を感じたが、 その心配は杞憂だった。 というのも、この…

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』、押井守、84年

メイキングに惹かれる。DVDに監督インタビューなどが収録されていると、 それがあまり興味がない作品のものでも絶対みてしまう。 それは映画に留まらなくて、音楽なら録音風景、 読み物だったら自著解説のインタビューという風に、 ジャンルにこだわらな…

『スーパーサイズ・ミー』、2004年、アメリカ、監督・主演、モーガン・スパーロック

#1 Can only Super Size when asked. (聞かれたらスーパーサイズにする) #2 Can only eat food from McDonald’s …water included. (水を含め、口にするものはすべてマクドナルドの製品だけにする) #3 Has to eat everything on the menu at least …

『泥の川』、監督 小栗康平、1981年、原作 宮本輝

深夜の衛星放送でやっていたのでついつい観てしまう。 詳しく感想を書くことは出来ないが、これも面白く観た。 俳優では、若き蟹江敬三や加賀まりこが出演していて面白かったが、 中でも藤田弓子が生活感溢れる妻を演じており、とてもよかった。 これは加賀…

ジャン=ピエール・ジュネ、インタビュー。

以前、『ロング・エンゲージメント』の公開に伴い、 ジャン=ピエール・ジュネのインタビューが新聞(朝日新聞・夕刊3/29)に 掲載されたことがある。 以下は他のブログに挙げたものだが、再び挙げておく。 映画監督には2種類ある。映像を10秒見れば誰が撮…

『去年マリエンバートで』(“L’annee Derniere A Marienbad”), 1961, フランス, 監督アラン・レネ、脚本アラン・ロブ=グリエ

また観てしまった。 観た後で後悔するのは観る前からわかっているのに、 私は数年おきににこの映画を観てしまう。 これは、難解なものにこそ高い価値があるとするスノビズムのあらわれだろうか。 この映画は、映画史に名を残す問題作である。 どれくらい問題…

『ソウ(”SAW”)』、2004年、アメリカ、ジェイムズ・ワン監督

『CUBE』meets『SEVEN』というふれこみのこの映画、 残念ながら「出会った」ことにより両者の要素はそれぞれ薄まってしまったようだ。 題名の「SAW」とは、「SEE-SAW-SEEN」の「みた」という意味、 犯人の名前である「JIGSAW」(JIGSAWとは「糸ノコギリ」の…

『耳に残るは君の歌声』(”The man who cried”)、フランス、2000年、監督サリー・ポッター

第二次世界大戦前夜の世界を舞台に、亡命と難民を主題とする映画。 アメリカに亡命したオペラ歌手の父親を持ち、 その資質を受け継ぎながらヨーロッパ各地を転々としながら、 幼い頃の父の子守唄を胸に父親を探す、主人公のロシア出身のユダヤ人の少女(スー…

『A2』、森達也監督、2000年

『A』がオウム問題についての問題提起のフィルムだったとするならば、 『A2』はその途中経過の報告のフィルムである。 フィルムの内容は、1999年9月の布教を含めた対外的活動停止の休眠宣言の発表から、 2000年までの記録である。 このフィルムは、大き…

『パラサイト・ドールズ』、2004年、クロックワークス

85分とはいえ、ムダな時間を過ごしてしまった。 このようなアニメが作られ、そしてその「映像」が業界内で評価されてしまうから、 アニメは日本でなかなか市民権を得ることが出来ないのではないだろうか。 この作品は全3話から構成されており、前2話を吉永…

『25時』、アメリカ、2002年、スパイク・リー監督、エドワード・ノートン

大胆な仮説を立てよう。 これは、アメリカについての映画である。 筋は、表向き――密告によって7年の実刑判決を受け、その服役のために 刑務所に入所する前の麻薬の売人モンティ(エドワード・ノートン)の 1日(今から「25時間後」であり、これがタイト…

『モーターサイクル・ダイアリーズ』、イギリス=アメリカ合作、2004年

“This is not a story of incredible heroism, or merely the narrative of a cynic; at least I do not mean it to be. It is a glimpse of two lives that ran parallel for a time, with similar hopes and convergent dreams. …… …Is it that our whole …

『エレファント』、2003年、アメリカ、ガス・ヴァン・サント監督

美しい映画である。 内容は、1999年に起きたコロンバイン高校の銃乱射事件を題材として、 その事件当日をフィクションとして再現したものであり、 極めて社会的なフィルムであるが、同時に、美しいフィルムでもある。 まず、そのことを述べておきたい。 ガス…

『ハイ・フィデリティ』

"A while back, Dick, Barry and I agreed.... that what really matters is what you like...not what you are like. Books, records, films—These things matters. Call me shallow. It’s the fucking truth."「僕ら男3人は同意してる。 人の価値は人間性…

『グレイズ・アナトミー』、アメリカ、1996年、ソダーバーグ監督(”GRAY’S ANATOMY”)

(昨日の続き) 『グレイズ・アナトミー』は、ソダーバーグ自身ファンであるという 「マスター・オブ・モノローグ」、スポルディング・グレイの、 文字通りモノローグ(独白)を90分間延々と撮影した作品である。 独白の内容はグレイ自身が経験した眼病とそ…

『スキゾポリス』、アメリカ、1996年、S.ソダーバーグ監督

衝撃の『オーシャンズ12』を観て以来、 ソダーバーグが僕の中で気になる存在でありつづけている。 特に悪印象もなく、むしろ好きな監督の中の一人だったソダーバーグだが、 『オーシャンズ12』を観て以来、僕の中でどう評価すればいいのかわからず、 どうに…

『オーシャンズ 12』、スティーブン・ソダーバーグ監督

以前に書いたものだが、ソダーバーグについて記しておきたいので、 ここにもアップしておく。 … わざわざ映画館にまで行って観たくはなかったのだが、友人に強力に押し切られる形で足を運ぶことになる。 僕は『レイ』を観たかったのだが。 『オーシャンズ〜…

『レッツ・ゲスト・ロスト』("let's get lost")、アメリカ、1988年、監督ブルース・ウェーバー、89年度アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ノミネート

チェット・ベイカーの魅力を、僕はこのフィルムで知った。 スタン・ゲッツはずっと好きだったが、ウエストコースト・ジャズを 好んで聴くようになったのはここ数年のことだ。 そもそも、僕のジャズの入口とは後藤雅洋的「ハード・バップ」至上主義であり、 …

『A』、1998年、森達也監督

TVディレクターとして、数多くのドキュメンタリーを制作する森達也が、 オウム真理教(現アーレフ)の広報担当者・荒木浩を被写体とし、 社会とオウムの双方を撮り続けたドキュメンタリー映画。 オウムを絶対悪として描くことを強要するプロデューサーと衝突し…

『ミーンストリート』、1973年、アメリカ映画、マーチン・スコセッシ監督("Mean Street")

スコセッシ31歳の時の作品。 この映画は、スコセッシがデ・ニーロと初めてコンビを組んだ作品であり、 その意味で記念的な作品であるとよく述べられる。 手元の資料に目を落とすと、 確かに、デ・ニーロはこの三年後の76年には、 圧倒的な『タクシー・ドライ…

『ハリーとトント』、1974年、アメリカ

恐らく、僕はこの映画を何年おきかに観続けるだろう。 数十年後、仕事を引退したときに昔を想いだしながら観たくなることだろう。 そんな気にさせる映画なのである。 一言でいえば、老人と茶猫のアメリカ横断ロード・ムービー。 ニューヨークの市政の関係で…