『パラサイト・ドールズ』、2004年、クロックワークス

85分とはいえ、ムダな時間を過ごしてしまった。

このようなアニメが作られ、そしてその「映像」が業界内で評価されてしまうから、
アニメは日本でなかなか市民権を得ることが出来ないのではないだろうか。


この作品は全3話から構成されており、前2話を吉永尚之、第3話を中澤一登
担当しているらしい。

中澤は、『Grasshoppa ! vol.3』の「COMEDY」の監督、
『アニマトリックス』の「キッズ・ストーリー」と「ディテクティブ・ストーリー」
(ともにナベシンこと渡辺信一郎が監督だ!)の原画、
さらに『キル・ビル』(2003年)のアニメパートの監督も務めた、
活躍が期待される「アニメーション・クリエイター」の一人らしい。

設定近未来で、「ブーマ」と呼ばれる人造人間(アンドロイド)と共存する社会が舞台。

しかし、世界観はゼロ。

耽美的な美形のキャラを登場させ、「近未来」という設定をいいことに、
アンドロイドの暴走、アンドロイドの感情の有無など、
もはやそのまま取り上げたのでは悪い冗談にしかならないステレオタイプな問題を、
これまたステレオタイプなハードボイルドという文体で叙したアニメ作品。
OVAでなく、劇場化したらしい。

極めてステレオタイプな設定・プロットを、
音楽と映画的要素の組み合わせで一級のエンタテイメントに仕上げるのは
ナベシンの得意技だが、本作品はその境地には程遠い。

自己満足的な湿度が鼻につくだけである。


前評判などを耳にせず、レンタル店の新作コーナーに置いてあったのをみて、
借りてきただけであり、期待が裏切られることはなかったのでまだよしとするがが、
今回の冒険はハズレだった。

PARASITE DOLLS〈劇場版〉 [DVD]

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