『ハイ・フィデリティ』

"A while back, Dick, Barry and I agreed....
that what really matters is what you like...not what you are like.
Books, records, films—These things matters.
Call me shallow.
It’s the fucking truth."

「僕ら男3人は同意してる。
 人の価値は人間性でなく好みで決まるのだと。
 本やレコードの趣味が第一条件。
 浅い人間で結構。
 でも、これは紛れも無い事実だ。」

そう、「Call Me Shallow」。全く同感である。
こういうスタンスがスノッブそのものであることは百も承知である。
だが、「好み」だけで人間の価値の全てが決まるとは思わないが、
本や音楽の好みを聞けば大体その人のライフ・スタイルが見えてくる、
というのは事実だろう。

まずいものばかり食べていると味覚がバカになっていくように、
程度の低い文化に囲まれていると、どんどん人間的に程度が低くなっていく。
なにより、本、映画、音楽は人生観を規定する。
「what you like」が「what you are like」を形成することだってあるのである。


『ハイ・フィデリティ』は大好きな映画だ。
初めて観たときは、自分を振った女が次の男と寝たかどうかを気にする
ロブ(ジョン・キューザック)のことが観ていられなかったが、
これは私の精神状態がよろしくなかったからだった。


時間をおいて観なおしたら、音楽への愛情(偏愛?)に満ちた
いい映画であると思い直した。
70年代に名作を連発したスティービー・ワンダーについて、
しかしその後かつての輝きを失ってしまっていることをチクリと批判しながら、
エンディングは「I Believe」で締めるなど、
その制作姿勢には音楽ファンなら深く同感するであろう。 


そして、ジョン・キューザックはもちろんいいが、
なんといってもバリー役のジャック・ブラック
サイコーだ。
ディック役のトッド・ルイーゾもいいし、
別な意味でのスノッブそのものの役である
キャサリン・ゼタ=ジョーンズとティム・ロビンズもいい。


調子が出ないときには、私はこのDVDを観ることにしている。


また、当然のことながら、サントラもよい。


ハイ・フィデリティ 特別版 [DVD]

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ハイ・フィデリティ

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