『キューティ・ハニー』、庵野秀明監督

永井豪の懐かしいお色気アニメを、庵野秀明が実写化した作品。
『新世紀 エヴァンゲリオン』、『彼氏彼女の事情』以降、
庵野はアニメでなく実写を撮り続けている。『ラブ&ポップ』、『式日』、
そしてこの『キューティ・ハニー』だ。
ラブ&ポップ』は観てないのでなんともいえないけど、
式日』はひどかった。
途中から、ぼくは早く終わることだけを願っていたくらい。
岩井俊二が主人公で、映画監督の役を演じているんだけど、
それもどうでもいいや。


で、あんまり期待せずに観たんだけど、
これは『式日』よりもはるかにマシだった。
庵野の特撮ヒーローオタクぶりがわかる映画です。
ぼくはこのジャンルは全く知らないので、
引用やら特撮技法やらは全然わからないけど、
とにかく庵野の「撮りたいものが撮っている幸福感」は伝わってくる。
あと、佐藤江梨子の体の柔らかさも。
庵野自身どこかで語っていたけど、確かに柔らかい。
セックスアピールはほとんどないけど、
丸くて柔らかそうな曲線は観ていて楽しかった。


でも、それだけかな。

脇は結構面白いんだよ。
村上淳松尾スズキ岩松了も出てるし、
石井克人の名前がエンドクレジットにあったから、
アニメパートは石井克人が担当してるのかも。
しかし、残念だったのは、市川実日子


『すいか』はとてもいい感じだったから期待してたんだけど、
今回は完全なミスキャスト。
もっとお高くとまってて優等生タイプの女性の方がよかった。
ちょっとカツゼツが悪くて、
そしてちょっと小生意気な喋り方は可愛らしいけど、
求められた女刑事の役には全然合わない。
これは本当に残念だった。
*1


物語の語り方も中だるみする。
ふと思ったんだけど、庵野秀明って実はすごく真面目なんじゃないかな? 
「手を抜く」ということが出来ないのでは。
明らかに話の流れにおけるツナギのシーンでも、
手を抜かずに細部までこだわり続ける姿勢が窺える。
でも、観てる方は気を抜くところは抜きたいのです。
2時間集中し続けるってのは結構大変だから。


アクションシーンのカメラもちょっとウルサイ。
アクションでないシーンでも、
ゼロコンマ感覚で数コマで切り替わるショットは、
アニメならカッコイイけど(例えば『エヴァンゲリオン』とかね。)、
実写でやるとちょっとキツイ。
アニメはどうしても平板な画面だから、速い切り替わりは効果的だけど、
実写はアニメに比べて情報量が格段に多いから目がついていけないのだ。


しかし、まあ、進歩してるのは事実だと思う。
いい気にならずに、自分の撮りたいものを客観的に撮れるよう、
精進してほしい。
期待してます。
あと、これはなんと配給がワーナーみたい。
どういう経緯だったのだろう?


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*1:それにしても、岩松了はいつのまにか俳優としての露出が増えた。竹中直人作品ではおなじみだけど、脇でよく見る。俳優もいいけど、竹中作品のような繊細な脚本を書くことも止めずに続けてほしい。