「サイゾー」2005年9月号

これはあまり大きな声では言えないけれど、
サイゾー」はやっぱり面白い。
ゴシップ雑誌の面があるからカミングアウトする勇気がいるけれど。
これでもう少し経済面が充実してれば言うことないね。


押井守山形浩生の連載があったから買い始めたんだけど、
他の記事もぼくの嗜好にピッタリ。
爆笑問題も、読み物は面白いというのを知った。
「ファビュラス・バーカー・ボーイズ」の「ウェイン」こと
町山智浩も連載してるしね。


今回嬉しかったのは、少年への性的虐待などの容疑に対して
全面無罪の評決が下されたマイケル・ジャクソンについての記事で、
NONA REEVES西寺郷太が丸々1ページマイケルの弁護をしてること。
その紹介に、

9歳のときに「ビリー・ジーン」のPVをみて以来、
熱狂的なマイケルファン。
マイケルをかけるのがお約束の面白DJとしても有名。
04年3月発売のマイケルのショートフィルム集『Number Ones』の
ライナーノーツでは7pにわたり、愛情溢れる解説文を寄稿。

とある。
郷太がマイケルファンなのは知ってたけど、
ここまでとは知らなかった。
そして、金原ひとみ菊地成孔の対談まで掲載されてる!


他に、映画業界の話では、興行成績を第一に考えるため、
日本の配給会社は『ホテル・ルワンダ』や
『売春窟に生まれついて』のような社会派、
ドキュメンタリー映画の配給権を買い取らず、
その結果これらの映画が日本で公開される予定がないらしい。
映画産業は商売なので利益を考慮しなければならないこともわかるが、
映画産業は文化産業であることも真実である。
とにかく売れる映画だけを紹介することは、
日本の映画産業の文化産業において質の低下を招くと思うのだが……。


そして、押井守山形浩生の連載も充実していた。

作品をつくるということは、
何百人、何千人という人間を説得することだ。
誰かを説得するときに最後に根拠になるのは、
結局はロジックではなく情熱なのだ。
真の情熱がどこから生まれるのかといえば、絶対的な感情だ。
つまり、幼児性こそが情熱を支える源泉であり、
物をつくるという行為の根元なのだ。
「若い感性」なんてものはつきつめれば単に「悩む」ということであり、
これは自分を支える根拠が不確かであることから来る。
自分の根拠の「揺らぎ」などがものをつくる根拠となるはずがない。

「若い感性」というものには硬直化してしまった
「嗜好」や「思考」に新たな考え方を提供する効果もあるのではないか、
とも思うし、全面的に賛成できるわけではないのだが、団塊の世代らしい、
頑固で頭の固そうな押井守らしい意見だ。一理あると思う。


そして山形浩生岩井克人の『会社はだれのものか』批判。
ぼくは山形浩生岩井克人の両者を敬愛しているので、
こういう対立はちょっと困る。
『会社はだれのものか』を読む必要がありそうだ。

                  
でも、本当に盛りだくさんの内容。
今号は特にすごかった……。