『ON THE ROCK』、監督山下澄人

惜しいなあ、このフィルム。
あらゆる要素がもう少しずつよくなれば、
すごく面白い作品になっただろうに。


「きょん」というバーに訪れる客と店員の話で、
カメラは店の中から動かない。
舞台の要素が強いフィルムで、1話10数分の全六話。
ちょっと無愛想なマスターと、
いつもレッチリのTシャツを着ている若いバイトのもとに
毎回新しい客が訪れてくる。
ジャンルとしてはコメディ、コントになるが、
言葉やアクションでなく、間や雰囲気での笑いを狙っているようにみえる。
確かに間は悪くない。
だが、どうももうひとつなんだよなあ。
笑いについてあれこれ述べるつもりはないのけど、
とにかく全てが悪い意味でB級。
女流作家の回で登場する室井祐月というキャスティングもね…。
キャラとしてはハマッたと思うけど。


そうそう、制作になんと「堀江貴文」の名前があり、*1
いまひとつ煮え切らないのはこの男のセンスのせいか!
…なんて世間のホリエモン・バッシングに
安易に便乗しちゃうとラクなんだろうけど、
原因はそれだけじゃないよね、きっと。
こうした「間」や「雰囲気」を笑いにするってのは、
芸として考えると難しいんだろうな。
日常的にはわりとこういう笑いは身近にあるから難しく考えないが、
意識的・再演可能な芸として追求するのは難しそうだ。
まあ、最近『亀は意外と早く泳ぐ』を観たせいかもしれないけど。
岩松了とかふせえりの笑いなんて
ほとんどこれだけで構成されてるもんね。


本当に面白くなりそうな企画と設定だっただけに残念。
ただ、毎話のオープニングとエンディングの音楽はよかった。
DJ LOKI と DJ MAKKI によるもので、
曲というよりもトラックと呼んだ方が正確だが、
非常にシンプルながらもグルーヴィでリズムの着想も面白い。
サンプリングしたくなるトラックです。

ON THE ROCK [DVD]

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*1:どうも、ストリーミングサイトのネットシネマの企画だったみたい。