『江口寿史の爆発ディナーショー』、江口寿史、双葉社、1991年

江口寿史作品の中で、不思議とこれだけ読んでなかったのが、
偶然近所のブック・オフで出会ったので購入。
全て4ページの「超短編」で構成されているギャグマンガだが、
各短編は確固とした批評性に支えられており、大いに楽しむ。
期待以上であり、思わぬ収穫だ。
この頃が江口寿史の全盛期だったのだろうか。


中でも、「わたせの国のねじ式」が秀逸。
この作品は、関川夏央の『知識的大衆諸君、これもマンガだ』収録の
わたせせいぞう批判(ちなみに、論旨は広告代理店的なその世界観批判)である
「荒涼たる爽快さ」で紹介されており、長い間読みたかった話だが、
期待を裏切らない出来である。

この短編は「ねじ式」とわたせせいぞうの世界、
両方に親しんでいればいるほど面白さが倍増する。
逆に言えば、どちらも知らない人にとっては何が面白いのかわからないだろう。
笑いには体力が必要なのである。        

江口寿史の爆発ディナーショー

江口寿史の爆発ディナーショー