2009-01-01から1年間の記事一覧

『ドイツ語のすすめ』、藤田五郎、講談社現代新書、1964年

ドイツ語を学び始めた頃に読んだ本。 豆知識を2つだけ。 トマス・カーライルも、英文を綴るときに名詞を大文字で書いていました。 その便利さをしみじみ感じたからでしょう。 亀の甲文字(die Fraktur:ひげ文字)をやめる第一歩に踏み切ったのが、じつはヒ…

『王様は裸だと言った子供はその後どうなったか』、森達也、集英社新書、2007年

森達也の軽い読み物。 童話にからめて世相を語る、というコンセプトだが、 はっきりいって失望した。 好意的にとらえるなら、 「物を書いて食べていく、ということはこういうものも書かなければならないのか…」 という物書きの悲哀のようなものを感じた。 ぼ…

『シュレディンガーの哲学する猫』、竹内薫+SANAMI、徳間書店、一九九八

最近文庫にもなった、竹内薫の一般向け哲学書。 確か学部生のころに買って、ずっと本棚に眠ってた本。期待してたほど文章はうまくなかった。 こういう本は、一読して達意でなければ駄目で、 単純に、状況がよくわからないときがあるのは辛かった。ただ、この…

『ニーチェが泣くとき』、アーヴィン・D・ヤーロム(金沢泰子訳)、西村書店、1992(一九九八)

19世紀末のウィーンを舞台にした、実在の人物をモデルにしたフィクション。 主人公は哲学者のニーチェと精神分析学者のブロイアー。 もしも、『悦ばしき知識』を書き、『ツァラトゥストラ』を書くまでのニーチェが、 精神分析学の黎明期に大きな役割を果たし…

『勝つために戦え!』、押井守、エンターブレイン、2006年

あまり期待してなかったけど、『スカイ・クロラ』は面白かったな〜。 ただ、戦闘シーンは必要以上に凝りすぎだと思うし、 テーマ自体が日本に特殊なものであり、徴兵制があるなど、 本当に死が日常である国々でも同じ問題意識を共有できるのか、 という四方…

『JAZZジャイアンツ名盤はこれだ!』、寺島靖国・安原顕、講談社+α文庫、2001

あまりぼくの好みではない2人の批評家の対談集。 ・2人に共通の三大原則 「ジャズ・ジャイアンツは最後に聴くべし!」 「今のジャズを聴け!」 「聴くなら最良の装置で!」 安原 トロンボーン奏者では、いまは誰が好きなの? 寺島 たったいまはローレンス…

『汽車旅放浪記』、関川夏央、新潮社、2006年

関川夏央の「鉄道−日本文学」エッセイ。 やはりいい文章だ。小ネタも勉強になった。 特に、「太宰治の帰郷」の、修治(太宰の本名)とたけの話がよかった。 その他、メモ帳代わりに引いておく。 中野重治は福井の人である。 「さようなら さようなら さよう…

『思想とは何だろうか 鶴見俊輔座談』、晶文社、1996年

はるか昔、鶴見俊輔に興味があった頃に買った本。 部屋の奥から発掘して早速読み上げる。 強烈な時代感覚のズレを感じる。 幾分なりとも引っかかってきたものを以下に引く。 ・鶴見俊輔はカルナップに1年習った。講義「分析哲学入門」「経験論の原理」 ・加…

『脳の見方』、養老孟司、ちくま文庫、1986

20年以上前のエッセイ集。 養老孟子の文章の魅力は、江戸っ子のような潔い語り口、嫌味のない悪口や自己韜晦だと思う。 例えば、こんなフレーズ。 …世の中には、書物を読む人と、読まぬ人とがある。 読まぬ人は、それでよろしい。 健全な精神を作るには、学…