『JAZZジャイアンツ名盤はこれだ!』、寺島靖国・安原顕、講談社+α文庫、2001

あまりぼくの好みではない2人の批評家の対談集。

・2人に共通の三大原則
「ジャズ・ジャイアンツは最後に聴くべし!」
「今のジャズを聴け!」
「聴くなら最良の装置で!」

安原 トロンボーン奏者では、いまは誰が好きなの?
寺島 たったいまはローレンス・ブラウンだね。
安 誰、それ? 知らない。
寺 エリントン楽団にいた黒人のトロンボーン奏者なの。
アービー・グリーン系の音で、ベルベット・トーンなの。
ビロードの上を銀の靴下で歩いていくような音、ゴリゴリっていうんじゃなくてね。
実に微妙な音を出すんだよね。
(…で、ハイノートを出すことの難しさについてひとくさり)

寺 アンサンブルのときって、サックスならサックスが同じ音とハーモニーを出していると思う?
安 思う。
寺 ところが実際には、一人ひとり全部違うことをしているのね。
安 ええ! そうなの。
寺 おれも知らなかったんだけど、合奏するときって、sax, tb, tpとセクションが3層になってるよね。
ところが各人のハーモニーは全然違うんだって。
それに気づいたのは、tb4人のスライドの位置が違うからなの。
あれっと思って、一人ひとり聴いてたら、違うことをやってるの。いやあ、驚いた。
そういうことも楽器をやってみてはじめてわかったことだね。

…それは楽器をやってなくてもわかることでは?


音楽、という面から考えると、あまりにもレベルが低い対談。
リスナーやコレクターとしてはいいのかもしれないけど、ちょっと失望しました。
寺島靖国はモンクが全然いいとは思わない、と相変わらずセンスの悪さ丸出し。
わざわざ楽器をやってみて、ハイノートを出すのが難しい、としか言えないってのもどうかと思う。


Oscar Petersonが歌っているアルバム、『romance』を知ったのが唯一の収穫。
そりゃ、ジャズ批評家ってバカにされるはずだよ…。

JAZZジャイアンツ名盤はこれだ! (講談社プラスアルファ新書)

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Romance

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