「お詫びします」でお詫び完了。「遂行動詞」の話。

遂行動詞、興味深いです。

 

お詫びする 

大塚吉兵衛日大学長が学内のアメフト部不祥事に関して、「本当にお詫びしたいと思っております」と述べた。これでは謝罪したことにならない。謝罪の文法を知らない者が大学の学長とはあきれる。(2018.5.24) 

 

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 私が中学生だったとき、校長先生が「思っただけでは思わなかったのと、結果において同じです」と言われた。

 言語学で「遂行動詞」というのがあり、「その言葉を発言したと同時にその行為を遂行したことになる」動詞のことを言う。      

「開会を宣言いたします」と言った瞬間に「宣言した」のである。だから、ファンファーレが鳴り響き、無数の風船が空に舞う。

この遂行動詞には「感謝する、約束する、同意する、命令する、警告する」などがある。

「お詫び」も「お詫びいたします」の発言と同時に謝罪したことになる。だから、「お詫びしたいと思います」では、思っているだけで、お詫びはなされていない。それを知ってか、安倍晋三首相は、もっとも、手の込んだ悪質な物言いをする。

「お詫び申し上げたいと思っている次第であります。」

と頭を下げることもなく言う。これは、ずるい政治家が得意とする典型例。政治家の言葉は意図的に巧妙だ。

 

よい謝罪 仕事の危機を乗り切るための謝る技術
 
謝罪の作法 (ディスカヴァー携書)