「ええ = Yes」とはかぎらない。
日本語と英語のズレでよく取り上げられるのが、次の例です。
≪「しかし宏はあなたに六月二十七日の夜、ハツ子に会ったことを言いませんでしたね」≫
≪「ええ、聞きませんでした」≫(大岡昇平『事件』)
この「ええ」を日本語につられて Yesと言ってしまいがちですが、英語では「No」であることはよく指摘されます。でもこれも場数を踏まないととっさに言えません。やはり日本語に引きずられてしまいます。
ずっと以前のTVですが、ナイナイの岡村が車の免許を取ったので、初乗りを披露してみせる番組がありました。場所は米国で、乗るのはカーレース用の車。その教官が
「Don’t crash !」
と言います。通訳が「ぶっつけないでね!」と言ったので岡村は 「Yes !」と自信たっぷりに答えます。
教官は「Yes !!??」と、ぶっ飛んでしまう。
英語ではYes には肯定文を続け、Noには否定文を続けます。
日本語の「はい」と「いいえ」は、そのどちらにも肯定文も否定文も続けることが可能です。このギャップにおちいると致命的。
補注:山口美知代府立大准教授によると、「インド英語は、否定文に同意するとき「イエス」と言ったりする」そうです。(京都新聞)