『BECK』の新刊。
ホント、『BECK』は期待を裏切らない漫画だな〜。
今巻は、とにかく千葉がよかった。
よくわかるよ、千葉の気持ち……。
完結していない漫画については、
特筆すべきことがない限りさらっと流したいんだけど、
前に『BECK』について書き忘れたことがあったから書いておこう。
『BECK』の面白さは、
ハロルドのストーリーテリングによるところが大きい。
しかし、ときにあからさまに、
そしてときにさりげなく挿入される音楽的引用は
音楽好きのマニア心をくすぐり、
物語のいいアクセントになっている。
例えば、伝説的な「グレイトフル・サウンド」――
――物語では「greatful」となってるけど、こんな単語はない。
正しくは「grateful」。いや、もちろんわかってるよ。
ハロルドが自身で創造した言葉だよね。――
このとき、BECKが千葉や竜介なしのボロボロの状態で
コユキが一人でアコースティックギターを持って唄う曲は
ビートルズの「I’ve got a feeling」。
この選曲が通泣かせ。
このときの曲はこの曲でなければならない。
なぜか?
「I’ve got a feeling」は、『LET IT BE』に収録されていて、
ビートルズがバラバラの状態であるときに、
ポールの「GET BACK」の掛け声とともに作られたアルバムだ。
この時期、曲のクレジットの「Lennon / McCartney」は
有名無実となっていたが、
この曲は本当に二人の共作。
ポールの「I’ve got a feeling」と
ジョンの「Everybody had a hard year」を合体させた曲なのだ。
その合体のさせ方が本当に見事なんだけど、
グッとくるのはその歌詞だ。
Everybody had a hard year
Everybody had a good time
Everybody had a wet dream
Everybody saw the sunshine…
ジョンがこう歌うとき、
頭の中にはこれまでのビートルズの過去がよぎっているのだろうが
(それともヨーコのことだけ?)、
もちろんあの時代に戻れないことはわかっている。
昔を思い出すような年齢ではないことは承知の上だが、
ぼくはここのフレーズが大好きだ。
で、コユキがBECKの解散を覚悟してこの曲を歌う姿が、
解散を覚悟して歌うポールの姿に重なるんだな。
そこでサクと平君が入ってきて、千葉が戻ってきて……
っていう演出は本当にニクイ。
それだけでもいい場面なのに、
「I’ve got a feeling」の背景を知ってる
マニアにはたまらないシーンだよ。
以上、書き忘れてたこと終わり。
次巻も楽しみだ!
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