『BECK』(23)ハロルド作石

BECK』の物語としての推進力は、
世界から拒絶されたときの「絶望」と、
そしてそれをバネとして成長するときの「高揚」とが
交互に訪れるところにある。
その配置のされ方は実に巧妙だ。
流れでみれば23巻は「高揚」の訪れのはずだが、
私はむしろ「絶望」の予兆という印象を強く受けた。


BECK』は大好きな漫画だしハロルド作石を応援しているが、
このような「安定」と「不安定」を周期として物語を構成するというのは、
「近代・資本主義に特有な構造」*1なのだろうか? 連載漫画として考えたとき、
このような構造は延々と連載を続けるのに便利であることは理解するが、
この振幅に翻弄される読者としては精神的に辛い。。。
コユキや千葉君たちに安息の日々は来るのか? 


……まぁ、振り回されてしまうのは、
それだけハロルド作石ストーリー・テリングが巧だということなのだが。              

BECK(23) (KCデラックス)

BECK(23) (KCデラックス)

*1:菊地成孔が繰り返し指摘しているような。