『Sound Concierge 401 “Do Not Disturb”』, Selected and Mixed by Fantastic Plastic Machine, 2004

こんなMix CDが欲しかった! 


Remix CD ならぬ、Mix CD。
つまり、DJがクラブで実際につないでいるのを再現したCDである。
クラブが踊る場所ということもあり、これまでのMix CDは、
ハウス、テクノ、ヒップホップなどジャンルに関わらず、
どうしても踊るためのCDが多かった。


しかし、このMix CDはラウンジ。
BGM色が強いものであり、踊るためのものではない。


Fantastic Plastic Machineこと田中知之大沢伸一と並んで
京都出身のDJ兼ミュージシャンだが、専門(といっていいのだろうか?)は
ハウスとラウンジである(と言っていいだろう)。


このSound Conciergeシリーズは、このハウスとラウンジに分けて、
一枚にMixしたものを出す企画であり、
この”Do Not Disturb”と対になるのは、『402 “Four Kicks Adventure”』
(「4つ打ちの冒険」と訳しておこう)である。
安易なRemix、ベスト盤のようなMix CDは僕が最も嫌うものだが、
FPMに限るならば、Remix もMix CDも一定の水準を保っており、
裏切られることはない。


この『401』に関して言えば、テンポは一枚の内で大きく揺れるが、
全く気にならない。
選曲も、チェット・ベイカーの「something」(ビートルズだ!)や
ミッシェル・ペトルチアーニの「Brazilian Suite」など、
ジャズファンもうならせる曲が選ばれている。


私が刺激を受けたのは#6のEgo-Wrappin’の「A Love Song」。
デタミネーションズをバンドに歌いあげられるこの曲の使い方には完全脱帽だ。

そして、白眉はBPM 70前後でつながれる#8〜9、
Art of Noiseの「Moments In Love」〜藤原ヒロシの「Natural Born Dub」!
眠りに落ちる前の時間が永遠に続くかのようなこのつなぎで、
私はいつも昇天してしまう。


DJとはは、選曲によって曲に新たな価値を生み出す人間のことだ。


FPMが音楽家デビュー前は編集者だったのも頷ける(ちなみにSAVY)。


ただ、エンディングがガトー・バルビエリなのはちょっと不満である。

Sound Concierge #401 Do Not Disturb

Sound Concierge #401 Do Not Disturb