「白」という文字は象形文字だそうです。
「頭の白い骨」とも、「日光」とも、「どんぐりの実」とも言われる象形がそのだとか。
白夜
森繁久彌さんにも逸話がいくつもありますが、そのうちのひとつ。
自ら作詞作曲した「知床旅情」についてある記者が「白」を「びゃく」と読むのはおかしい、「白夜」を「びゃくや」というのは変だと言いました。森繁さんはすかさず、ではこれからは白虎隊を「はくこたい」と言うことにしよう、と返しました。
心が狭く薄学の私なら、何を言ってるんだ、白はびゃくと読むのである。奈良の萩の寺は白毫寺(びゃくごうじ)であり、白虎隊は「びゃっこたい」だ、と青筋たてたことでしょう。
白毫寺(兵庫県)
そこを「これからは、はくこたい、と言うことにしよう」とだけ言い添えて終わりにするなんて懐の深い人だったのでしょうね。
でも、面白いことに、岩波国語辞典、新明解国語辞典で「びゃくや」を引くと「はくや」を見よとあり、意味は「はくや」で解説、明鏡国語辞典では「はくや」を引くと「びゃくや」を見よとあり、意味は「びゃくや」で解説されています。それぞれの辞典の編集方針の違いなのでしょう。それぞれの編集方針を読めということなのだと思います。
冒頭の「白」の話の出典はこちら。
そうか、「白」は、「ハク」「ビャク」の他にも「パイ」とも読みますね。
森繁久彌さんは、わたしの世代ではもはや伝説の存在。さまざまな豪快なエピソードこそよく耳にしますし、亡くなったのは2009年なのですが、同時代人としての感覚はあまりありません。あ、でもジブリの『もののけ姫』に出演してましたね。
調べてみたら、乙事主の役でした。
森繁さんは、自伝も書いているようです。