わたしも使いませんが、いい表現だと思います。
蒲団を着せる
溝口健二監督『祇園の姉妹』で芸子のおもちゃ(山田五十)が、足を骨折して横になっている。姉と言い争っている時、「寒いから蒲団を着せてぇな」と言う場面がある。この「着せる」、岩波国語辞典には「ものを他のものにかぶせる」とあり、明鏡国語辞典には例として「肩から毛布をきせる(=かける)」とある。
これは地域差があるだろう。私の故郷では使わなかったと思う。
≪孝行したい時分に親はなし。さればとて、墓に布団も着せられず≫
最後の「孝行したい時分に~」は、小津安二郎監督の『東京物語』のセリフにあったような。そしてこの言葉、山田洋次監督による同作へのオマージュ作品の『東京家族』でも使われていたそうです。