説明系の文章や論文では、 前フリや論のステップでは表現が似通ってくるのは仕方のないこと、なのかもしれませんが…。
ウィキペディアの功罪
地方紙の読者投稿欄に「夾竹桃」について次の一文が掲載された。
広島市では、原爆で70年以上草木は生えないといわれた焦土に、いち早く咲いた花といわれ、復興のシンボルとして市の花になっている。
(投稿 中川一之)
夾竹桃は毒性が強いというのでウィキペディアを参照しようと開いて驚いた。次の文章が載っている。
広島市はかつて原爆で75年間草木も生えないといわれたが、被爆焼土にいち早く咲いた花として原爆からの復興のシンボルとなり広島市の花に指定された。
これは類似ではなく明らかに剽窃だ。コピペに加工を加えたこの程度の盗作をチェックする仕事が増えた新聞社デスクが気の毒と言おうか。
う~ん、これは難しい。
説明系の文章は、周知の情報を簡潔に伝えようと思うとすると、どうしても似通った表現になりがちです。論文なんか、特にそう。以前はわたしもこういうのに腹を立てていましたが、今では、ある著作や論文を紹介するときは仕方のないことなのかもしれないのかもな、と考えています。
先日も、ある論文を書いていたら、まさにこの例にピッタリなくだりに遭遇しましたよ。それも一箇所だけではなくて、その「剽窃」が延々と続くんです。で、うまくその「剽窃」を並び替えて、作者の考えを述べ、それで論文完成。そうか、法律系の論文はそういうものなのか。新しい知見を得た経験でした。
この話についてはあまり多くのことを書かないほうがいいと思いますので、これくらいで終わりにしておきましょう。剽窃元は金子宏先生の一連の著作、知見を得た論文群は行政系のアルシーヴです。