ありがとう vs ありがたい

そう言われると、この2つの言葉は似ている言葉ですが、意味も働きも全然違いますね。

 

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ありがとう vs ありがたい

いつだったか「マナーを携帯しよう」というキャンペーンがテレビで行われた。携帯用灰皿に吸殻を入れ,タバコのポイ捨てをしなかった人に「どうもありがとう」と言っていた。

世も末だね。悪いことをしなかった、あるいは、あたりまえのことをした人に「ありがとう」だなんて。誰がなぜそこまで卑屈になってお礼を言わなければならないのだろうか。

いうまでもなく「ありがとう」「ありがとうございます」は感謝を述べる言葉だ。感謝の気持ちを表すのだから、否定形の「ありがとうございません」は文法上は可能だが、日常生活には存在しない。

同じような語に「ありがたい」がある。

 

「なにかお手伝いできないかと飛んできました」

「それはありがたい」

 

でもこの言葉は否定形でも使われる。

 

「木下さんが手伝いに来るって聞かないんだ」

「木下さんはお節介すぎるから、あまりありがたくないなあ」

 

このように否定形も存在するということは、感謝語の「ありがとうございます」に対して、「ありがたい」は評価語(何かを評価する語)とでもいっておこうか。

しかし、「おはようございます」も否定形は存在しないので「おはようございません」とは言わない。そしてこれは何かを評価しているのではない。

「ありがとうございます」も「おはようございます」も、否定形がない上に、変更できないという制約があり、「ありがたい」とは範疇の異なるグループに属すると考えるのが適切だろう。でも、よい名称を思いつかない。日本語文法ではどのように分類しているのだろうか。