便利だから

最近は、電子書籍、という選択肢もできましたね。

美しさ、本棚に飾る喜びはありませんが、とにかく便利です。

 

便利だから

 物の存在には必ず理由がある。物事には初めと終わりがある。原因と結果がある。
AだからBが必要だな、と考え始める。その最初の思いつきが大切。 例えば、いちばん手軽な文庫本が町の書店に並ぶようになったのはなぜか。そして、なぜ売れているのか。これを解き明かす説明に出会った。

 パリのキオスクに marie claire のA4版とB5版が同時に販売されたという。A4版をB5版に縮小しただけで内容はまったく同じ。大きいA4版で編集したのだから、A4版の方が美しい。なぜ? 縮小版が表れたのか。その答えが「通勤に便利だから」とはあっけにとられた。

 書店の雑誌コーナーに行くと、ファッションに限らず、山、ハイキング、フィッシング、音楽など趣味の雑誌はコーナーには、大型のカラフルな雑誌はA5判で大きい。大型本は持ち運びに不便だ。ハイキングの雑誌も必携の地図を掲載しているため、大判なので持ち歩きにくい。つまり、「携帯に便利ではない」。ならば、旅行などの趣味雑誌も携帯に便利な小型版を作ればよいではないかと思う。ところが『マリ・クレール』だけが小型版を出した。再び、なぜ?

 男がフィッシングやカー雑誌を読むのは、仕事を終えた自分の部屋で就寝前に水割りを友としながらだろう。煙草をくゆらせウイスキーを楽しみながらなら、カラフルな大型雑誌がよく似合う。だから通勤の電車の中で広げているのは文庫や新書のハウツーものだ。これらは同僚に差をつける教養・実践の書だ。

 女性はハウツーものよりファッションが気にかかる。他と違いを出すためには通勤時間でも勉強する。一日の仕事を終え自分の部屋で読む時間だけでは足りない。足りなければバッグに入るB5版がジャストサイズ、その上値段も安い。A4とB5の2種類を出した理由は「あまり豊かではない働く女性の通勤時間が長くなったのだ」と解説されて男の私は少しばかり胸が痛む。いろいろな分野のデザインを読み解く竹原あき子さんの『街角で見つけた、デザイン・シンキング』(日経BP社)は見開き2ページで、解説と世界で見つけたモノとコトを解き明かすしゃれた写真の楽しい本だ。

 

街角で見つけた、デザイン・シンキング

街角で見つけた、デザイン・シンキング

 

 

冒頭にも書きましたが、わたしは、情報収集のための本はとにかく電子化しています。以前買った本はpdf 化してEvernote、iBunkoで読んでいるし、ときにはいきなりKindleで買っちゃったりします。

その反面、思い入れのある本はきちんと本棚に分類して並べ、夜な夜なその背表紙を眺めてグフグフ悦に入ってます。

これは音楽に関しても同じで、思い入れのあるCDは丁寧に並べて、場合によってはアナログ盤まで買ってグフグフしてますが、なんとなく聞ければいいかなあ、というものは spotifyGoogle Play Music で十分なんです。

これから、メディアはどんどんこうなっていくのでしょうか。