「鉄板」と並んで、日常的に使っている言葉です（下手するとビジネスやセミナーでも普通に使っているかもしれません）。聞く人が聞くと、違和感がある言葉だったとは…。
がっつり
餃子で有名な料理店の求人広告です。（餃子の王将）
掛け持ちバイトで深夜のみがっつり働くフリーターさん
「がっつり」の語感はなんとなくわかるのですが、意味が判然としません。
「がっぽり」「確実に」「十分に」などの意味の方言か俗語でしょう。
求人のチラシになんでこんなマイナーな言葉を、
と目くじらを立ててはいけません。
土日のみしっかり働く高校生さん
学校帰りにさくっと働く大学生さん
掛け持ちバイトで深夜のみがっつり働くフリーターさん
こう並べてあるのです。
高校生は「しっかり」、大学生は「さくっと」とくれば
フリーターは「がっつり」が最適でしょう。
やはりコンテクストは無視できないということ。
うまいなあ。
作家の藤谷治さんは自作の『花のようする』について
大人の恋愛小説をがっつりかきたいという気持ちがありました。
と書かれていました。
これは「あれこれ盛り込んで」くらいの意味でしょうか。
「がっつり」は、「がっぽり」というよりは、「がっちり」「がっしり」から派生した言葉ではないでしょうか。「がっちり」「がっしり」が体格、体つきを表現する形容詞なので、「しっかり」という意味で、これらの言葉の語感を活かした副詞が生まれた、と。相撲の「四つに組む」や「努める」の「つ」の響きが生きていて、人々に好んで使われるようになったのではないか、とわたしは考えています。
